野心的な目標数値だが、別の見方をすると…
豊田社長は、トヨタの電動化戦略の中長期目標をこの会見で明示した。「地球温暖化とエネルギー問題に直面する中で、2つのルール対応が求められている。1つはZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制であり、もう1つは燃費規制だ。ZEV規制より燃費規制の方が圧倒的に厳しい。これに対応するためにも電動化のフルラインメーカーであることは優位性を持つ」とする。
この考えに基づき、トヨタは2030年に世界販売の50%、台数でいえば550万台を電動車両とする方針だ。その内訳として豊田社長は、450万台がHVとプラグインハイブリッド車(PHV)、100万台がEVと燃料電池車(FCV)との目標値を打ち出した。
しかし、これは別の見方をすれば、2030年になっても、トヨタ車世界販売の半分は内燃機関のエンジン車が残るということである。
ここで、世界の自動車メーカーが掲げている主な電動化目標を確認しておきたい。ボルボは2019年、ジャガーは2020年に全モデルを電動車にすると宣言。メルセデス・ベンツのダイムラーは、2025年に全売上高のうち15~25%をEVにするとしている。BMWは2025年にPHVの割合を15~20%に増やす方針。フォルクスワーゲン(VW)は2030年までに全モデルでEV・PHVを設定するとしている。ホンダは2040年に世界販売の3分の2を電動車とする方針だ。
これを見ても、自動車メーカーは全てのクルマをEVに切り替えると言っているわけではなく、世界各国の環境規制やエンジン車規制への対応で、「電動車」促進戦略を打ち出していることが分かる。ボルボは中国、ジャガーはインドに親会社がある関係上、政府がらみで国策としてEV化を打ち出しているとも考えられる。
パナソニックがにじませた生き残りへの危機感
一方で、パナソニックがトヨタの呼びかけに応じた背景には、テスラ依存の払拭という目論みがあるのかもしれない。パナソニックの津賀社長も「電池は電動車普及のカギを握るデバイス。トヨタと協力してナンバーワンの電池をつくらないと生きていけない。将来を見てどこに伸びしろがあるか、一緒にチャレンジしていきたい」と述べた。
豊田社長も「電動車両は普及してこそ、地球環境に貢献することになる。そのためにも、他の自動車メーカーとも仲間で一緒にやれるようにしていきたい」と、電動車の仲間づくりに意欲を示した。