一貫して理想を追求するドライビングポジション

まず運転姿勢について。これはCX-8に限らないことだが、マツダは、運転を楽しむためと安全運転を促すため、運転姿勢を正しく得られる運転席の作りにこだわっている。簡単に言えば、進行方向に正対してきちんと座れて、手足をまっすぐ前へ伸ばせる姿勢をとれるようにする。

そんなことは当たり前だと思うかもしれないが、実際には、体が少し斜めになった状態で運転させられるクルマが多いのが現状だ。それが、ペダル踏み間違いの遠因になっている可能性は否定できない。

ということで、マツダ車の運転席に座ると、正しい姿勢であることに安堵を覚える。それはCX-8も同じだ。

  • CX-8の運転席

    運転席に着くとマツダのこだわりを感じた

最上級SUVならではの静粛性を実現

ディーゼルエンジンを始動して走りだすが、ディーゼル特有の振動や騒音はよく抑えられ、少なくとも車内にいる乗員に対しては、ディーゼルエンジンであることを気付かせない快適性を実現している。

走っている最中も室内の静粛性は優れ、CX-8をマツダが最上級SUVと位置づけるだけの高級さを実感することができた。そして、運転席のある1列目の座席と、3列目の座席の乗員が、日常的な普通の声で会話をすることができるほど静かな室内が保たれる。やや残念なのは、それほどの静けさの中にタイヤ騒音が侵入してくることだ。装着されていたのは走行性能を重視した銘柄だったが、その分、タイヤ騒音は気になった。

  • 走行中のCX-8

    走行中は静粛性を実感したが、タイヤ騒音はやや残念だった

マツダの最上級SUVとして、走行感覚にも乗車感覚にも上質さを重視する車種であるにもかかわらず、その雰囲気を壊してしまうタイヤ選択には疑問が残った。近年、快適性を重視したタイヤであっても、走行性能を十分に満たしたものが出回っている。“Be a driver”を標榜し、“Zoom-Zoom”な走りを求めるあまり、目指した狙いと実際の開発とに多少のズレが生じたようだ。