
7月2日、ステランティスジャパンはプジョーの新型3008を発表し、同日に発売した。3008はプジョー・ブランドのSUVの中核的モデルで、今モデルは3世代目になる。
【画像】ステランティス新開発のプラットフォーム「STLA-Medium(ステラ ミディアム)」を使用した初の車種、プジョー3008(写真25点)
プジョーはフランスの、というよりもほぼ世界最古のメーカーといってよい存在だ。フランス東部モンベリアールを拠点に18世紀から軽工業を営み、19世紀初頭から鉄加工製品をつくり始めた。高品質のペッパーミルなどが、今でも日本でも売られている。ものづくりメーカーとしての土台が19世紀末の時点ですでに整っていたので、隣国ドイツでエンジンが実用化されると、すぐに高い工作技術で自動車を製造し、また販売することができた。以来プジョー車は、堅実な正統派であり続け、同時に老舗でありながら100年以上もの間、革新を追求して、現在に至る。
新型3008をプジョーは「次世代のフラッグシップ」と説明している。古典的な車形というべきセダンやハッチバック車を重視してきていた「正統派」のプジョーも、もはやSUVが主流になったようである。もちろんそれには先代3008の大成功という裏付けもありそうで、新型3008は、その先代モデルの正常進化という印象だ。ただ、新しいのはファストバックスタイルを採用したこと。その軽快なスタイルは、やはりファストバックを採用した最新型408に通じるものがあり、スポーティ志向をテーマにしている現代プジョー・ブランドが推進するスタイリングといえそうだ。ちなみに3列シート仕様もある兄弟車5008の新型は、従来同様のワゴンスタイルを維持しており、これも今後日本への導入が期待される。
3008の外観デザインは、先代と同じようにシャープなエッジのキャラクターラインで造形されてモダンな印象だ。ただ先代以上にシャープになった感があり、2008や408と同様の傾向が見てとれ、プジョーの最新デザイン言語が実践されている。フロントマスクに大きなフレームレスグリルを採用するのは、先代の後期型以来だが、より精緻なデザインに進化し、ボディに溶け込んでいる。ライオンの爪痕を表わす3本のデイタイムライトも、最新プジョー各車が採用するもの。ちなみにこれは、先代後期型では1本で、しかも「牙」と説明されていた。このほか一見気づきにくいが、サイドウィンドウのモールが見えないようにデザインされたのが新しく、クリーンですっきりした印象のボディサイドを際立たせている。
インテリアは、近年のプジョーおなじみの、ステアリングの上にメーターを配置するi-Cockpitが引き続き採用されている。i-Cockpitは年々進化しているが、新型3008では一段と新しくなって洗練された印象で、21インチのパノラミックスクリーンが目をひく。横長のスクリーンはドライバーを中心にカーブしている。ダッシュボード全体のデザインも洗練されており、新しさを感じさせる。やはりプジョーが近年得意とするファブリック調のトリムが大胆に使われ、ダッシュボードからドア、センターコンソールまでを水平基調の面で包み込む。ドイツ車ともイタリア車とも違う、モダンかつリラックスできる、フランスらしさを感じられる室内空間といえそうだ。
メカニズムでは、ステランティスの新しいプラットフォーム、STLA-Medium(ステラ・ミディアム)を採用している。C〜Dセグメントの電動車用に開発されたもので、プジョー・ブランドでは初めての採用となる。BEVに最適化された設計だが、設計自由度があり、ハイブリッドにも対応。日本仕様では、まずハイブリッドが今回、導入された。
ハイブリッドシステムはステランティスで展開されている最新のもの。新開発ミラーサイクルの3気筒1.2Lエンジンに、1モーターを組み込みこんだ6速DCTという構成で、これにさらに発電も担うベルトドライブのスターターモーターを備える。マイルドハイブリッドとは言っているが、48V電圧であるし、約30km/hまでならモーターのみの走行が可能で、市街地走行では最大50%の時間、エンジン停止状態を維持するという。燃費はWLTCモードで19.4km/L。システム最高出力は145ps/107kWで、エンジンは136ps/100kW、モーターは16kW。とくに発進加速や低速域でモーターアシストが力を発揮し、ICE車よりは充実した走りが期待できそうだ。
グレードと価格は、Allure Hybridが489万円、GT Hybridが540万円、GT アルカンタラパッケージ Hybridが558万円。先代モデルにあったディーゼルやガソリン、PHEVがなくシンプルな構成だが、このあとBEVのE-3008も選択肢として加わり、年内に発売される予定となっている。
最後にひとこと加えると、ホイールは19インチが標準装備となっているが、今回導入されたハイブリッドモデルのホイールの名称は「YARI」。北アルプスの槍ヶ岳からとったもので、見てのとおり、槍ヶ岳を連想させるデザインである。フランスはアルピニズム発祥国のひとつで、かのモンブランをさえ擁するが、日本文化を尊重してくれるのも古くからの伝統。このネーミングセンスが、またなんともフランスらしいと感じられた。
文:武田 隆 写真:Stellantisジャパン
Words: Takashi TAKEDA Photography: Stellantis Japan