シミの主な原因

シミの原因の大半は、紫外線によるメラノサイト(メラニンを作る細胞)のダメージです。それとあまり意識されていない方も多いのですが、もう一つの大きな要因とされているのが、摩擦などの刺激です。自己流の化粧や洗顔、器具を使った正しくないマッサージなどが原因の色素沈着も多く見受けられます。この2大要因を防ぐことが、シミ予防に直結すると考えましょう。

紫外線対策

まずは紫外線対策からですが、日焼け止めは毎日塗布してください。「毎日」というのは紫外線が特に強い夏だけではなく、冬の時期や曇り、雨の日もです。化粧品に含まれている日焼け止めでなく、単独での使用をお勧めいたします。 塗るときのコツもお伝えします。きちんと日焼け止めを塗布できている方は意外と少ないです。使用時は500円玉くらいの量を手のひらに取り、お顔の全体にまんべんなく塗り、塗りムラをなくしてください。「今日は自宅で過ごす」という休日でも、日焼け止めを塗るようにしましょう。

そして盲点かもしれませんが、ご自宅で寝ている位置や寝室の日光の当たる位置も確認してみてください。シミが体の片側に偏って出現する方が多いのですが、寝る姿勢や寝る位置などが関係しているかもしれません。紫外線を浴びている側だけ、シミやシワができやすくなるからです。もしくは、車の運転などの生活習慣の影響があるかもしれません。

日焼け止めの種類は、紫外線防止効果の数値などによりいろいろありますが、その日の活動内容によって使い分けてください。ゴルフや海水浴など、強い紫外線を浴びるときに「飲む日焼け止め」も追加するなどの工夫をするとよいですよ。もしも日焼けをしてしまったら、まずはクーリングして炎症を鎮静化させましょう。自宅でのパックもお勧め。冷蔵庫で冷やしたパックでの鎮静は、手軽にできて効果も見込めます。

さらに積極的に紫外線を予防するなら、ビタミンAを含む化粧品を日頃から使うことをお勧めします。皮膚に蓄積されたビタミンAは、紫外線により発生する活性酸素の働きを阻害する効果が期待できます。その結果、紫外線によるシミができにくくなるうえ、シミの改善にもつながります。

最近はビタミンAを含む化粧品が流行しており、豊富な種類が販売されております。レチノールやプロピオン酸レチノールなど、ビタミンAの形態にも複数あり、肌での反応がそれぞれ異なります。ご自身の肌質も含めて、濃度や種類や使い方など必ず皮膚科で相談してからご使用ください。

摩擦対策

続いて摩擦についてですが、日常的に些細なことが繰り返されることでメラニンが増えていきます。これは、体質的に起こりやすい方とそうでない方とがいらっしゃいます。

ご自身の行動を振り返ってみてください。化粧時に使うスポンジやブラシなどが汚れていませんか? もしもスポンジが化粧品で汚れて硬くなっていたら、摩擦の原因になりますよ。

洗顔時は顔をゴシゴシと洗っていませんか? 特に頬は頬骨があるため、摩擦を受けやすくなります。また、自宅で使用できる美顔器も使い方を間違えると、擦ってしまうことになります。摩擦が繰り返されると、メラニンが増えて色素沈着を引き起こしてしまいます。これらの行動を変えるだけで、皮膚の状態も徐々に改善される方もいらっしゃいます。

日常的なシミ対策

シミの種類や治療、原因について取り上げましたが、そもそもシミを作らないためにはどうすればいいのでしょうか。その対策もチェックしておきましょう。

(1)スキンケア

上述のように、シミの原因となる黒色メラニンが生成される一番の原因は紫外線です。そのため、紫外線をなるべく浴びないようにすることは、シミ予防の基本となります。朝のスキンケアでは日焼け止めクリームを塗ったり、UVケア効果のある化粧品を使用したりするようにしましょう。

日焼け止めアイテムには、紫外線のA波に対する防御能を示すPAとB波に対する防御能を示すSPFの表示があります。PAは「+」の数が多いほど効果が高く、SPFは数値が高いほど紫外線からのダメージを防いでくれます。また、日焼け止めクリームは汗で流れやすいため、一度に大量に塗るよりも何度もこまめに塗る方がいいです。

(2)食生活

毎日の食事が私たちの皮膚に与える影響は、広く知られているところです。特に腸内環境が肌に大きく影響を与えることが近年明らかになってきました。腸内環境を整えたり、食生活でもシミ予防を心掛けたりするようにしましょう。 具体的には「活性酸素を生じやすい動物性の食物」「大量のアルコール」「トランス脂肪酸を含むもの」の摂取は控えましょう。糖化もシミの原因となるため、糖質の摂りすぎも注意したいですね。

一方で、メラニンの生成を抑える作用が期待できるβカロチン(ビタミンA)やビタミンCが豊富な食材を積極的に摂(と)りましょう。ビタミンEやL-システインも効果的ですよ。

<食材例>
・ビタミンC
キウイ、イチゴ、パプリカ
・βカロチン(ビタミンA)
かぼちゃ、ほうれん草、トマト
・ビタミンE
アボカド、アーモンド
・L-システイン
たまねぎ、ブロッコリー、にんにく、鶏卵

(3)良質な睡眠

質の良い睡眠を十分に取ることは体内のホルモンバランスを整えて肌のターンオーバーの機能を高め、結果的にシミの予防につながっていきます。

そんな良質の睡眠の大敵となりうるのがストレスです。仕事や育児などでイライラがたまってしまったら、好きな音楽を聴いたりアロマを焚いたりするなど、ご自身にあったストレス発散法を就寝前にしてみましょう。

(4)医薬品

忙しい日々を過ごす人にとって、栄養を考えた食事を日々取り続けるのは至難の業です。どうしても時間がとれずに食事からの栄養補給が難しいような日は、無理をせずにビタミンCやL-システイン、トラネキサム酸などを含む内服薬を上手に活用するのも選択肢としてあります。

まとめ

シミができるのを恐れながら生活していたら何もできないですが、予防方法をきちんと把握していればある程度は防ぐことができます。うまく活用しながら、毎日の生活を過ごしてみてくださいね。

※写真と本文は関係ありません