●聞き終わったあとポジティブに

――それでは改めて「7 Senses」について聞いていければと。レコーディング時で印象に残っているエピソードはありますか?

永野 今回は林田藍里としてじゃなくて、私たち声優ユニット「Wake Up, Girls!」の声で歌ってと言われました。オープニングテーマとしては新しい試みでしたね。

青山 アーティストWUGがTVアニメ『WUG』のタイアップを歌うイメージって言われたね。

山下 私が歌っている"ドアを一瞬閉めて 背中向けても"という箇所なんですけど、そこだけ抜き出すと明るい歌詞ではないじゃないですか。なので、落ち込みすぎず、明るすぎずといった塩梅を、何度も歌いながら掴んでいきました。一瞬ネガティブに見える歌詞もあるんですが、一曲聞き終わったあとにポジティブで明るい曲に聞こえるのがいいですね。

――お気に入りのフレーズはあります?

永野 "ほめられてのびてく 落ちこんで這い上がる"ですね。"這い上がる"ってなかなかアイドルの歌で聞かない。そういうところを隠していくのがアイドルアニメかなと思うんですけど、あえてそこを見せるのがWUGっぽいなって感じます。『新章』では笑顔でいろいろな活動をしていますけど、前作のTVシリーズや劇場版のときはまだまだ苦労して挫折もしているので。

山下 私は"ダイエットしなくちゃ"ですね。よく思いつくよなーって。すごいキャッチーで耳を引くフレーズ。素晴らしいですよね。アイドルとか女の子ならではだなって思いました。(菊間)夏夜がダイエットを頑張る話もありましたし、そういうところにつながっていくのもいいですね。

青山 私は全員で歌っている"Seven Senses Wake up Go!"です。ここはテンポが早いのでレコーディングのときも何を言っているかわからないくらい早口でした。その分、練習したので一番思い入れが深いですね。セブンセンシズで7人の個性がゴー! ですよ。語彙力~(笑)。私たちも振り付けで飛んでいるし、お客さんも"Go"のところで飛ぶんだろうなとか思っちゃいますね。ここはメロディがない状態で歌っているので、すべてをさらけ出した感じです。

●MVではお天気お姉さん、モデル、子ども向け番組を

――「7 Senses」はMVも7人の個性を感じる内容になっていましたね。永野さんはお天気お姉さんになって仙台駅前で撮影をして。

永野 はい。あの日、台風が接近していて、雨が降っていたんです。ほかのみんなにとってはあいにくの雨だったと思うんです。特によっぴーとか。

青山 ほんとにあいにくだった。

永野 でも私にとっては好都合だったんです。お天気お姉さんって、たしかにマイクとかを持ったらそれっぽくなるんだけど、それ以上に傘を持ったらすごく本物っぽくなるんです。だからか自分の気持ちもすごい乗って、楽しかったです。

山下 たしかに楽しそうだったー。

永野 MVに音声は入っていないんですけど、実はセリフを言いながら撮影しているんですよ。「自分で考えてください」って言われたので、とっさに考えて「雨が降っています!」みたいなことを言いました。でも、結構がんばったのに音声は使われないんんです(笑)。


――青山さんはモデルになって、雑誌の表紙になっていましたね。

青山 佳乃がモデルをやっているので、自分もモデルにならねばって。一番大変だったのがウォーキングのシーンでした。実は、今年の1月に「舞台・Wake Up, Girls! 青葉の記録」をやったときにもウォーキングとポージングのシーンがあったんですけど、ぜんぜんできなかったので、笑いに走っちゃおうと切り抜けたんです。でも、今回は笑いにはできない、それは佳乃に失礼だなと。なので何回も撮って良いところを使ってもらいました。あのシーン、実は靴がびしょびしょなんですよ(笑)。

山下 華麗に見えてたのに。

青山 私は普段がに股猫背でイェーイみたいな感じで歩くので、背筋を伸ばして足をクロスして一本線を意識してみたいな歩き方は難しかったです。クラクラしましたね。

――その甲斐あって、OKシーンでは完璧でしたね。

青山 できる女だと思いました!

――山下さんは、子ども向け番組風「ななみんといっしょ」でトラの着ぐるみと踊っていましたね。

山下 私もダンスの振り付けを考えてくださいって言われて、トラちゃんや子どもが踊れて真似ができるくらいの振りを考えました。でも、トラちゃんがなかなか振りを覚えられなくて(笑)。

青山 トラちゃーん!

永野 トラだからね(笑)。

山下 5テイクくらいかかりました。撮影の寸前までトラちゃんが「もう一回!」って振りを確認していました。

青山 これもほんとにやっていそうだよね。朝の6時くらいに。で、その後に天気予報。あ、そうだ! トラの中身が青山説が出ちゃってたんです(笑)。ニコ生でふざけて、「これ中身よっぴーなんだよね」、「そーそーそー」ってやり取りをしたら信じてくださった人もいて。なので、今ここで訂正させてください! 中身は私じゃありません!

●まだまだ発展途中

――次はエンディングテーマの「雫の冠」。

青山 私は弦楽器が好きなので、弦楽器が使われていたのがうれしかったですね。第1期のエンディング「言の葉 青葉」と同じく、作・編曲を岡部啓一さんというMONACAのレジェンドの方に作っていただいているんです。なので、「言の葉 青葉」感もありつつ、素直にスッと入ってくるメロディですよね。

永野 しっとりしていて、一見するとしんみり悲しい曲調なのかなと思うんですけど、歌詞と合わせると芯があって、強さなど湧き上がってくるものがあります。すごくいいですよね。

山下 私はまずタイトルに含まれている「雫」ってなんだろうと考えていきました。"水の輪"とか"涙"、"海"や"雨"といった雫に関するワードが出てきていので、『新章』のWUGちゃんの心境を映しているんだなと思いました。

青山 うん。『新章』では笑顔とか明るさが強調されているのが特徴なんですけど、私たちもアニメのWUGも、2番の歌詞にあるような涙やつらさ、後悔といった悲しい気持ちも持っています。もちろん『新章』に対する不安もありました。後悔のないように歩いてきたつもりでも、"ところどころ 涙が 染みをつけた足跡"という歌詞をうたうのが重かった。いろんなつらいことを7人で乗り越えてきて、そして『新章』がはじまっているんだなって実感しました。

永野 「7 Senses」と「雫の冠」をセットにすることで、私たちの活動やアニメのWUGをまとめることができるのかなって思います。よっぴーも言ったけど、「雫の冠」には苦労した部分も書かれている。明るい部分を描いている「7 Senses」と合わさってひとつなのかなと感じます。

――レコーディングはいかがでした?

山下 曲調も緩やかなので「やさしい声で歌ってください」って言われましたね。それに沿うように自分のなかの一番やさしい声でうたいました。

青山 それこそ歌のお姉さんとか、小さい子に絵本を読むようにやさしくって言われたましね。私も最初は力強く思いのままに歌っていたら、「それじゃガラス割れちゃうよ」って。自分の声自体がかためなので、どうやってやわらかくするかが大変でした。裏声で"いつかは"とうたうパートがあったんですけど、私は裏声大得意だし、「余裕っしょ」って思っていたら、そこが一番難しかったんです。やわらかくすると抜けすぎちゃうし、声を出すとかたくなっちゃう。「やさしいってなんだろう」といまだ迷宮入りしています。ライブで歌うたびに成長しているって言われているんですけど、まだまだ発展途中です。

――MVは1台のカメラで撮影して1度も編集を入れないワンカット・ワンシーン方式を採用していますね。7人がそれぞれ移動しながら歌詞をつなげていくという、完成したものを観るととても美しいですけど、その裏では大変だったんだろうなと。

永野 優雅なMVの後ろでは、私たちがバタバタ走っています(笑)。

山下 一度間違えたら撮りなおしなので大変でした……!

青山 私はメンバー全員が移動したあとにライトに触って光を点けるという演出があるんですけど、「ここで点かなかったらおしまいだ……」と思いながらやってました。ライトも、それを点ける顔も全部カメラに撮られているので。

永野 あと、屋外で撮影したので、風が強くて大変でした。

山下 すごい寒かったよね。あまりにも寒かったから、衣装さんがカーディガンを用意してくれて、それを羽織って撮影しています。

青山 もう寒くて寒くて。

――大変だ……。一度でも間違えたら全部やり直しになるという緊張感あふれる撮影だったと思います。一発OKですか?

山下 実は一回だけ、私のカーディガンがポロッとずり落ちてしまって(笑)。そのままでも問題はなかったんですけどやり直したんです。そのときはカーディガンの内側にテープを貼って固定するという、ここでも見えない苦労がありました。