年末が近づいて来ると、クリスマスやお正月など、楽しみなイベントが続きます。しかし、会社勤めの方なら「ボーナス」が待ち遠しいのではないでしょうか。ボーナスの使い道は人ぞれぞれですが、普段の生活費の補てんに使い、あっという間になくなってしまうという人は多いものです。そこで今回は、ボーナスまでに家計を立て直す方法や、有意義なボーナスの使い方などをまとめてみました。

  • ボーナスまでに家計を立て直す3つの方法

1. 「ボーナスから補てん」をやめるには?

ボーナスを目的のある使い道ではなく、毎月の生活費の不足分に充ててしまう人は多いようです。さらに、ボーナスありきで家計をやりくりすることが常態化している人も、少なくありません。しかし、「ボーナスでなんとかする」お金の使い方をしていると、困った事態に陥ることも。ボーナスは、必ず支給されるとは限らず、会社の業績や景気の影響を受け、減給やカットもあり得るからです。そのため、ボーナスから赤字を補てんすることは、できる限り減らしていきましょう。

ボーナスから不足分の補てんをやめるには、毎月の収入の範囲内に支出を抑えるようにします。ただし、食費など「変動費」からいきなり削ろうとすると、無理が生じることも。そこで、まずは通信費や保険料など、毎月の「固定費」を見直してみましょう。固定費は、一度プランを変えたり解約をしたりすれば、その後もずっと節約の効果が続きます。逆に言えば、固定費を一度も見直さないままでいると、いつまでも無駄なお金を支出し続けている可能性もあるのです。固定費を削るだけで、それまで通りお金を使っていても赤字にならないだけでなく、貯金ができるようになるケースも多いのですよ。

また、「ボーナス払い」で高額な買い物をしている人は、要注意。ボーナス払いは、ボーナスで半年以上前の買い物の支払いをすることもあります。しっかり支払いの管理ができていればよいですが、購入したことを忘れてしまう人も多いようです。また、万が一ボーナスがカットされる場合には、支払いに困ることになります。衝動買いに使ってしまうなど計画的な利用が難しくなりますので、ボーナス払いは避けるようにしましょう。

2. ボーナスまでに貯蓄体質になる

「次のボーナスこそ貯金するぞ」と、今から意気込む人もいるかもしれません。しかし、普段貯金できないからボーナスで貯めるのではなく、「毎月一定額を貯金に回す」のが正解です。ボーナスで毎月の赤字を補てんしてはいけない理由と同じで、ボーナスはあくまでボーナス。必ず支給されると決められたものではないからです。

毎月しっかりお金を貯める「貯蓄体質」になる方法は、意外と簡単です。それは、「先取り貯金」をすること。金融機関の自動積立定期預金、勤め先の財形貯蓄制度などを利用し、給料から貯金分を別口座へ天引きさせるのです。生活費の残りを貯金に回そうとすると、神経を使いますし、よほど意志が強くても、出費がかさみ貯められない月も出てきてしまいます。その点、先に貯金するお金が別の口座に移れば、最初からなかったものとして残りのお金でやりくりすることができるのです。天引きの仕組みを取り入れるだけですので、早速やってみてください。

3. お金の流れを視覚化させる

無駄な固定費を削り貯金ができるようになれば、一歩前進です。さらに、お金の流れを記録する習慣を身につけてみましょう。最近は、スマートフォンやタブレットから使える、便利な「家計簿アプリ」がいくつもあります。買い物のレシートを保管しておき、時間がある時にまとめて入力したり、レシートの自動読み取り機能を利用したりすれば、デバイスの中に簡単に家計簿が作成できます。家計簿をつければ、変動費の無駄を見つけることに役立ちますし、習慣化してくると、買い物の際に「これは本当に必要な出費? 」と自問するようにもなります。

また、多くの家計簿アプリでは、銀行口座や証券口座を登録して残高を確認できる機能が付いています。この機能を使えば、毎月の貯金が増えていくのを確認できるのはもちろん、ボーナスでマイホーム購入資金や子どもの教育費など、特定の目的のために貯金する場合にも、計画的に準備していくことができるでしょう。ボーナスの一部を使って、投資を始めてみたいという人も、家計簿で資産が一元管理できれば便利ですね。

ボーナスの有意義な使い方

ここまで来れば、日々の支払いをボーナスに頼ることなく、貯金をしながら、毎月の収入の中でやりくりができるはずです。では、具体的には、どうすれば有意義なボーナスの使い方ができるのでしょうか。

「ボーナスは思い切って好きなことに使うべき」「いやいや、全額貯金しておいたほうがいい」など様々な意見がありますが、おすすめはボーナスを消費、貯金、投資にうまく配分する方法です。たとえば、ボーナスの半分は好きなことに使うお金、残り半分は貯金と運用に回す、もしくは、消費を4割程度、残り3割ずつを貯金と運用に回すなど大まかに振り分けてみましょう。欲しいものがない場合は、無理に使うことはありませんので、貯金や運用に多めに回します。特に、投資は余裕資金がないとなかなか始められないものですので、ボーナスはいいきっかけになるのではないでしょうか。

ボーナスを赤字の補てんやボーナス払いに充てていると、ただの消費に終わってもったいない使い方になってしまいます。毎月の無駄を省くだけでもその分のお金が浮き、ボーナスの新しい使い方ができるはずですよ。ボーナスまでにしっかり家計を立て直し、楽しい年末や新年を過ごしてくださいね。

■ 筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。