若手ホープとして注目を受け、NHK 連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主演で幅広い層から愛されるようになった女優・高畑充希。18日から公開された映画『泥棒役者』では、丸山隆平演じる主人公・はじめの恋人である美沙を演じている。同作の監督・脚本を務めた西田征史は、『とと姉ちゃん』の脚本も担当しており、高畑とは再タッグとなる。西田から見た役者としての高畑の魅力は、どこにあるのだろうか?

■西田征史
1975年5月22日生まれ、東京都出身。08年公開の『ガチ☆ボーイ』以降、『半分の月がのぼる空』(10)、『怪物くん』(11)、『妖怪人間べム』(12)、アニメ『TIGER & BUNNY』など数々の話題作の脚本を担当。14年に自作小説を原作として脚本も手がけた『小野寺の弟・小野寺の姉』で映画監督デビューを果たした。16年に放送されたNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が話題となり、脚本家としてさらなる地位を確立。自身が作・演出を手がけた舞台「泥棒役者」を映画化した本作が2作目の映画監督作品となる。

ちょっと普通じゃない

――『とと姉ちゃん』からの高畑さんとのタッグとなりましたが、朝ドラを見て高畑さんにオファーされたんですか?

いえ、『とと姉ちゃん』が始まる直前くらいにオファーしました。『泥棒役者』を制作することも決まっていたので、ぜひ彼女がいいなと思いました。これまでの作品でも芝居がいいのは本当に知っていましたし、ちょっと普通じゃないすごさですよね。

――どういうところが一番すごいのでしょうか?

『とと姉ちゃん』の時は脚本としての参加でしたので、高畑さんの現場への参加の仕方や、女優意識はわからなかったんですけど、実際に演出してみて、芝居の”生(ナマ)さ”に驚きました。すごくナチュラルで、セリフを一字一句変えていないのに、芝居のニュアンスが毎回ちょっとずつ違うんですよ。

それは芝居がぶれているということじゃなくて、例えばテイクごとの相手の目線の動きに合わせて自身の芝居を変えているというか。そういった反応が、その時その時で違うのが、すごい。自分の中での芝居を固めてきてしまうのではなく、そこにどーんと存在して、その時思っている感情で芝居しようという感じでした。

高畑充希

――相手のリアクションを見て演技を変える、というような。

丸山くんも一緒に演じていてすごく楽しかったみたいです。多分、セッションしている感覚があって楽しかったんじゃないかな。

――今回は撮影が2日間とのお話でしたが、それだけすごさが伝わったんですね。

ご本人は「2日以上あったらボロが出たかも」とは言っていましたが(笑)。でもきっと、ぶつかり合うことはあったとしても、話し合って面白いものになると思いますよ。

ドラマと映画で芝居の質も変えてるし、現代と昔の質感の差はあると思うんですけど、彼女の新たな表現の幅を見た気がします。『とと姉ちゃん』に感じていたものとはまた違うものでした。