最新鋭の機能とフランスの遊び心が同居

その頂点に位置するDS7クロスバックで、まず目を引くのは「DSアクティブLEDビジョン」と呼ばれるLEDヘッドランプだ。駐車、市街地、郊外、高速道路、悪天候という5つのモードを自動的に選び、ハイ/ロービームも自動で切り替え、ステアリング操作に合わせて照射方向を変えるなど機能的にも最新鋭だが、点灯時や消灯時に内側の3個のライトがクルッと回転するアクションも見逃せない。これだけで、他のSUVとはひと味違うという印象を受ける。

機能的に最新鋭のヘッドランプ。点灯・消灯時のアクションも特徴だ

インテリアは職人の手仕事が感じられるインパネのレザー、宝石を思わせるメタルのアクセントなど、シックでありながらラグジュアリーな世界が展開されている。その中で目立つのが、インパネ中央から立ち上がったアナログ時計だ。同じフランスのB.R.Mがデザインしたこの時計、エンジンスタートボタンを押すと連動して立ち上がる。驚きと遊びを盛り込んだフランスらしい技だ。

クラシックDSの乗り味も継承

クラシックDSはオイルと空気を使ったサスペンション「ハイドロニューマチック」がもたらす極上の乗り心地も魅力だった。DS7クロスバックはこの伝統も、21世紀の技術を融合することで進化させている。「DSアクティブスキャンサスペンション」がそれで、車体に装着したカメラを用い、前方5~20mの路面状況をチェック。その情報をもとに足回りのダンパーを電子制御することで、路面を問わない快適性を提供するというのだ。

搭載される1.6リッターのガソリンターボエンジンは専用チューニングが施された225ps仕様であり、トランスミッションは8速オートマチック。「DSコネクテッドパイロット」と呼ばれる高度な運転支援システムなど、DS7は技術面でも現代の水準に達している。

その上で、何を付加価値としてアピールするかが、プレミアムブランドの肝であると筆者は考える。DS7はその要求に、パリならではのリュクスとラグジュアリーを盛り込んだ。その世界観を象徴するのが、今回上陸したDS7クロスバックだ。このクルマを見れば、DSブランドの目指すところが分かるだろう。