秋の味覚を大福で!? 「フルーツ大福」

時の流れで街の様子は40年前の連載開始時とは違い、それほど下町風情は感じられない。しかし、食べ歩きで立ち寄った店の人々の人懐こい雰囲気に、下町っぽさが生きているような気がした。

「フルーツ大福(柿)」(税別285円)。フルーツは季節によって変わるものも

まず、元祖栗どら焼きの店「するが」で見つけたのは、生のフルーツが入った大福「フルーツ大福」だ。いちご大福は度々見るが、ここで販売されているのはメロン、マスカット、キウイ、パイン、みかん、洋梨など。今回は秋らしい「柿」(税別285円)をチョイス。

店内には古そうなモノクロ写真が多数飾られている。店員さんは「写真は昭和初期みたいに見えるけど、実は昭和40年くらいの開店でそこまで古くない」と笑っていた(いえ、十分古いですよ!)。

生の柿でさっぱり爽やかな大福

「なべぶた」って何!?

同じく「するが」で見つけた「なべぶた」(税別100円)。何かと思えば、"生チョコ入りのサブレ"なのだという。いわゆる円盤状のソフトなサブレで、間にチョコを挟んだものだった。もちっとした食感が新しい。

「なべぶた」(税別100円)。フタ……?

間に生チョコが入っている

●information
するが
東京都葛飾区亀有3-25-1

激ウマ! サクふわメンチカツ

駅前に多数ある商店街でもっとも下町らしいと感じられたのは、「ゆうろーど」の内、アーケードとなっている一角だ。その中にある「亀有メンチ」はメンチカツ専門店。しかも、オーソドックスな「亀有メンチカツ(豚肉)」(税込170円)、「亀有牛メンチ(牛肉)」(税込190円)のほか、チーズ、シソ、紅生姜、カレー、味噌、バジルなど、多彩なメンチカツが並んでいる。今回は、豚と牛を食べ比べてみることにした。

「亀有メンチカツ(豚肉)」(税込170円)と「亀有牛メンチ(牛肉)」(税込190円)。袋に「牛」と書いてくれた方が牛メンチ

亀有メンチカツ(豚肉)は、ぎゅっとお肉が詰まりつつもサクふわ

亀有牛メンチ(牛肉)は、肉汁がキラリと光るほどにジューシー

ゆうろーどの昭和的なアーケード

●information
亀有メンチ
東京都葛飾区亀有3-32-5

亀有地域限定! 「両さんのお菓子」

だんご屋で、だんごのショーケース以外がこち亀三昧となっている店を発見した。焼きだんごの「伊勢屋」だ。「両さんどら焼き」(税込160~200円)、「両さんサブレ」(税込540円)、さらには「両さんめんこ焼き」(税込640円)などが並んでいる。ここでは、両さんどら焼き(栗どら)と両さんめんこ焼きなるものをゲット。果たして、めんこ焼きとは何だろうか。

「両さんどら焼き(栗どら)」(税込200円)。両さんの焼印が楽しい

「両さんめんこ焼き」(税込640円)はパッケージがトランク型

中には丸いクッキーのようなものが……。ズバリ、「するが」の「なべぶた」に酷似している。やはり、ソフトクッキーにチョコが挟んであるのだが、味はなべぶたのサブレ風味よりもクッキーに近いような気がするという点で、一応違うものと思っておきたい(ちなみに製造元は違う)。その他、おまけにメンコが一枚入っている

●information
伊勢屋
東京都葛飾区亀有3-32-1

実を言うと筆者は「こち亀ファン」というほどのものではないのだが、「これがあの交番か」などと、いくらか感慨深い心境になった。銅像や登場スポットを探してみるのは面白く、こち亀ファンであればさらに「ここは漫画に出てきた」という場所を見つけることができるだろう。

タイトルは「お出迎え!」像ではあるけれど、「またな!」と見送ってくれているようにも見える

亀有(葛飾)まで来たのなら、映画『男はつらいよ』の舞台であり下町として知られる、フーテンの寅さんの「柴又」も訪れてみてはいかがだろうか。こち亀からさらに古い時代の昭和を思わせる街並みがあり、下町散策は秋の休日にぴったりくるはずだ。年代を超えたハシゴ街歩きも楽しいかもしれない。柴又レポートは、「寅さんの街・柴又で食べ歩きをしたら、懐かしい気持ちでいっぱいになった」をご参照あれ!

筆者プロフィール: 木口 マリ

執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。