目の周りにかゆみを覚えるアトピー性皮膚炎は、点眼薬などで治療を行う

我慢できないほどのかゆさが特徴である皮膚疾患・アトピー性皮膚炎。顔に炎症ができると眼球にもかゆみを覚えるため、かいたりこすったりしているうちに眼球が傷つき、何らかの疾患を併発する可能性も少なくない。ただ、かゆみを放置しておけば、日常生活に多大な影響が出てくるのは必至だ。

そこで今回は、あまきクリニック院長の味木幸医師にアトピー性皮膚炎に伴う目のかゆみを解消するための方法をうかがった。

アトピー性皮膚炎で併発する恐れがある疾患

目の周りでアトピー性皮膚炎を発症すると、眼瞼炎や角結膜炎、円錐角膜、網膜剥離、角膜潰瘍、巨大乳頭結膜炎、白内障などの眼疾患を併発する可能性が出てくる。これらの病気のリスクを低減させるには、目のかゆみを解消させたり、和らげたりすることが重要となってくる。そのためには点眼薬などでの治療が基本だと味木医師は話す。

「抗アレルギー薬が配合された点眼薬や飲み薬が治療の基本となります。症状がひどい場合はステロイド配合の目薬や塗り薬、飲み薬を使いますが、アトピー性皮膚炎の患者さんは一年中症状に悩まされるため、ステロイドに過度に頼りすぎるのはよくありません。症状が悪化するなどしたら処方薬を変えるため、定期的な通院をしてもらうことが前提となります」

例えばステロイドの外用剤は、塗る部位によってその強さのランクを変える必要があるため、ステロイド薬剤を用いる場合は必ず医師に相談するようにしよう。

ステロイド配合薬で失明!?

それとは別に、ステロイド配合の点眼薬や飲み薬を使用すると眼圧が上がる可能性があることも問題となっている。ステロイドに反応する人を「ステロイドリスポンダー」と呼ぶが、眼圧が上がって緑内障になると「1週間ぐらいで失明することもあります」と味木医師は話す。

このように体質的にステロイドが使えない患者は、免疫抑制薬配合の目薬や飲み薬などを用いて治療にあたる。免疫抑制薬配合の点眼薬は、3割負担が適用されても通常サイズで3,000円ほどになるとのこと。高額ではあるが、失明の恐れがある角膜潰瘍や春季カタルに関しては、ステロイド配合の点眼薬よりも完治率が高いという。

「きちんとケアをすればアトピーの炎症を抑えられるため、二次的に起こる白内障や網膜剥離、円錐角膜などを防げます。アトピー性皮膚炎の治療である一方で、その先にあるさらにひどい疾病の予防にもなっているわけです」

アトピー性皮膚炎の患者の中には、日中はかくのを我慢していても寝ている最中に患部を無意識にかく人や、すでに炎症が治っている部分を昔からの習慣で無意識にかいてしまう癖を持つ人がいる。そのような人たちは、就寝前に抗アレルギー薬を飲んでから寝るのも効果的だ。

自分の発病因子を特定する

アトピー性皮膚炎が完治したら、今度はその再発を防ぐことが重要となってくる。そのためにも、アレルギー反応を起こすアレルゲンを特定すべく、採血検査をすることを味木医師は推奨している。

「例えば、ほこりでアレルギー反応が出るのであれば、部屋を清潔にしようと努めますよね。また、ダニがアレルゲンとなれば、生息しやすいじゅうたんやカーペットの使用は控えるようになりますよね。そのようなアレルゲンの特定は対策の基本にもなります」

ただし、アレルゲン以外にも乾燥肌やストレスなどの要因がアトピー性皮膚炎につながっているケースもある。自分の発病因子が何なのかをきちんと把握することがアトピー性皮膚炎、ひいてはその先にある眼合併症対策の第一歩になると言えるだろう。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。