「仮想通貨投資で資産が何倍にも何十倍にもなった」という噂を聞きつけて、早速取引所の口座を開設した。日本円を入金してビットコインを購入し、「これで私も仮想通貨投資家の仲間入りだ」と誇らしげになっている所恐縮だが、取引所の画面に表示される数字や言葉の意味、ひいては取引に必要な金融知識を正しく理解できているだろうか。

そこで、仮想通貨投資に興味がある読者に向け、投資家同士で会話するときに恥をかかないためにも、知っておきたい仮想通貨投資に関する"3つの金融知識"を書き留めておく。

■ 今回取り上げる金融知識

(1) 販売所と取引所の違い
(2) 「板」と「価格」の見方・読み方
(3) Taker/Makerと成行/指値の関係

(1) 販売所と取引所の違い:取引の相手方が異なる点に注目

まずは販売所と取引所の違いから。どちらも仮想通貨を売買する所に違いはない。販売所で売買する場合は「その販売所を運営する企業」が取引の相手方になり、取引所で売買する場合する場合は「自分と同じように売買したい人」が取引の相手方になるという違いがある。

加えて販売所では、売買したい数量分だけ確実にそこに表示されているレート(価格)で取引できる。取引所では、売買したい人が出しているレート(価格)ごとの数量分しか取引できない。運営企業の目線に立つと、販売所では客の注文数量を確実に捌かなければならないので、コストをかけてでも仮想通貨を調達しなければならない。

したがって販売所の方が取引所よりも高いレート(価格)を提示し、企業によっては手数料を上乗せして販売している。販売所で売却するときはその逆で取引所よりも低いレート(価格)が提示される。

ちなみに証券会社では、取引の相手方が証券会社になる場合は、店頭取引やOTC(Over The Counterの略)取引といい、取引所で取引をする場合は取引所取引といい区別している。

仮想通貨販売所の例(コインチェックの場合)。購入したい数量を入力すると下部にレートが表示される方式になっている。手数料がかからないように見えるが実際は、(1) 販売所が仮想通貨を調達するコスト、(2) 販売手数料の2つが上乗せされていることを知っておこう。これらの上乗せのことを「スプレッド」という。例えば為替取引の世界だと、「1ドル110円でスプレッド2円です」という表記がなされていて、ドルを買う場合は1ドル112円で買うことになる

分かりやすくするために1ビットコイン売ったときと1000ビットコイン売った場合でのレートを比較してみると1000ビットコイン売ったときの方が2万円ほど安く販売所に買われてしまう。販売所から見れば多く買い取った分だけ売却のコストや価格変動のリスクがあるので、そのコストを投資家に払ってもらっていることになる