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国土交通省航空局は7月18日、運輸安全委員会より、2015年7月26日に東京都調布市で発生した小型航空機墜落事故に関する航空事故調査報告書の中で、自家用小型機の運航の安全性の向上を図る必要があるとして、勧告を受けたことを発表した。

同件は2015年7月26日に個人所属パイパー式PA-46-350P型機が調布飛行場を離陸直後に住宅に墜落し、住民を含む3人が死亡、5人が負傷した事故に関するもの。報告書によると、同事故は同機が最大離陸重量を超過した状態で飛行したこと、低速で離陸したことおよび過度な機首上げ姿勢を継続したことにより、離陸上昇中の速度が低下したことが事故原因であると推定している。

今回の勧告内容として、自家用小型機の操縦士に対し、飛行前に性能上の最大重量を確認する重要性の理解促進、離陸中に性能低下が発生した時に再接地する等の対処方法の確認について指導強化を実施することを定めた。また、空港の設置・管理者に対し、滑走路長を最大限に利用するための事例(誘導路の接続方法等)を周知することも勧告している。

航空局では事故直後から、離陸重量等の出発前の確認手順の再点検を含む注意喚起文書の発出、航空安全講習会の開催、安全啓発リーフレットの配布等、再発防止の取組みを実施しているが、今回の勧告を受け、更に取組みを強化していくという。

具体的には、自家用小型機の操縦士に対する理解促進・指導強化においては、改めて、小型航空機の運航者や関係団体に対し注意喚起文書を発出するとともに、勧告内容等を踏まえたリーフレットを今後作成・配布し、定期的な技能審査の機会に理解を確認する。また、事故直後から全国主要空港において開催している航空安全講習会を引き続き実施し、国土交通省のホームページを通じて更なる安全啓発を行っていく。

注意喚起文書は事故原因を踏まえ、国土交通大臣(航空局)宛に安全向上策として、自家用小型航空機の操縦士に対し、理解の促進・指導の強化を行うよう勧告がしているもの。具体的には、出発前の確認における最大離陸重量および重心位置限界の遵守に加えて、飛行規程に規定された性能上の要件を満たしていることを確認することとしている。

また、飛行規程に規定された速度および手順を常に遵守するとともに、離陸時に加速不足または速度の減少等の飛行性能の低下が発生した場合に備えて、飛行規程の非常操作手順に従うことを含め、常日頃から対処法を考え、出発前の準備時に操縦士自身がセルフブリーフィングを行ってこれらの対処方法を確認することとしている。

空港の設置・管理者に対する周知においては、空港の安全性向上に寄与すると考えられる方法として、ターニングパッドや取付誘導路の配置によって既存の滑走路長を最大限に利用している事例を取りまとめ、空港の設置・管理者に対し周知文書を発出するとしている。