デザインも走りも違う新しいカムリ

TNGAの導入により、大幅な刷新を遂げた新型カムリ。プラットフォームのみならず、全ての部品をゼロから開発できたのは、「千載一遇」のチャンスだったと勝又氏は振り返る。

新型カムリはデザインを見ても、2011年に登場した先代カムリからは大きく変化している。トヨタが新型でこだわったのは「理屈抜きのかっこよさ」。クルマをかっこよくするには「車高も(エンジン)フードも低い方がいいし、タイヤは四隅に配置した方がいい」(勝又氏)という基本的な考えのもと、エンジンルーム内に収まる部品のサイズまで考慮した上で、今回のスタイリングを実現した。

フロントマスクが目を引く独特なデザインの新型カムリ(左側)。右が先代カムリだ

走りの部分でも、ゼロから作り直した新型カムリは大幅な進化を遂げている。勝又氏によると、TNGAで実現した低重心のパッケージは、走りのよさを生み出す基本的なファクターであるとのこと。重いものを少しでも低く、少しでも中央よりに配置することで、基本的な性能を飛躍的に向上させたそうだ。そのうえで、リヤサスペンションにダブルウィッシュボーン式を採用したり、ボディーおよびステアリング系の剛性を高めたりすることで、運動性能を大幅に引き上げたという。

車高は低く抑えた

パワートレーンには新開発の「ダイナミックフォースエンジン」を採用し、新世代のハイブリッドシステム「THSⅡ」を組み合わせた。排気量は2487ccで、モーターとエンジンを合わせたシステム全体の出力は211PSとなる。この組み合わせにより、同排気量ではトップクラスとなるリッターあたり33.4キロの低燃費を実現した。

新開発のエンジンを搭載

米国ではガソリンエンジンの設定もあるそうだが、日本ではハイブリッドのみの販売となる新型カムリ。3つのグレードがあり、税込み価格は329万4000円から419万5800円となる。セダン復権を果たすためにも、まずは台数を伸ばしたいところだろうが、トヨタはどのような販売戦略をとるのだろうか。