そもそもリコール制度は、完成車メーカーが市場責任で対応するものだ。①危険責任の原則、②信頼責任の原則、③賠償責任の原則の製造物責任三原則から、リコール制度に向き合うべきは、本来は自動車を完成車として製造・販売する自動車メーカーなのだ。

自動車メーカーサイドは、タカタ製エアバッグのリコール費用の引き当て対策、特別損失を前々期決算までに計上したことで、業績面に少なからず影響を受けることになった。

エアバッグは保安部品に指定すべき

かつて1987年に、ホンダが「レジェンド」に日本初の運転席エアバッグを搭載して発表した際、現役記者だった筆者は、エアバッグを開く実験で強烈な火薬の爆発音に驚いた覚えがある。それがいまや、クルマの安全装置としてエアバッグは常識化し、最近の新型車には歩行者保護のエアバッグまで搭載されるようになった。

ホンダ「レジェンド」

現在の法律上、クルマにエアバッグを搭載する義務はない。だが、型式指定をとるためには保安基準を満たす必要がある。この保安基準を満たすには、エアバッグの搭載が最もコストに見合うとされ、型式指定の必要からもエアバッグはクルマに不可欠なものとなっている。

しかし、エアバッグが乗員の人命を保護する重要な機能を持つことからすれば、エアバッグは保安部品に指定されるべきだし、本来は車検などで定期交換すべきなのである。

予防安全の重要性、サプライヤーも再認識を

2015年11月のNHTSAの発表後、ホンダは「タカタの提出データに不適切な報告の形跡がある。今後の新型車にタカタ製インフレーターを使わない」と発表し、当時の岩村副社長はタカタを強く非難した。かつてエアバッグ開発以来、タカタと関係が深かったホンダは、世界販売で最も多くのタカタ製エアバッグの供給を受けてきただけに、リコール費用が嵩み、業績に多大な影響を受けた。強い非難を行った背景には、ホンダの焦燥感があったのかもしれない。これを受けてトヨタ自動車、スバル、マツダなど、各社が相次いでタカタ製エアバッグの使用を止めることを表明した。

タカタは、中国寧波均勝電子傘下の米キー・セイフティー・システムズ(KSS)に事業譲渡し、旧会社が債務弁済する方向となりそうだが、今後の損害賠償などは明確になっていない。

タカタ問題が物語っているのは、サプライヤーの部品企業であっても、いつリコールの矢面に立たされるか分からないという教訓だ。そういった場合、サプライヤーには相応の対応が求められる。また、電子部品からIT関連の半導体、センサー、さらにはAIへという具合に、複雑化していくシステム障害については、クルマの安全を完成車メーカーとサプライヤーがどう忖度し、対応していくのかが問題になってくる。あらためて今、予防安全の取り組みについて、リコール制度の中身を含め、見直していく重要性が増しているということだろう。