苦手なことはいっぱい

――作詞を手掛けられた2曲に続き、残りの新曲についてもお伺いさせてください。まずはアルバムの曲順で最初の新曲となる「Good Day」。こちらは非常に爽やかな曲になっていますね。

まさに、アルバムのコンセプトである前向きさを表現してくれた曲です。実はこの曲、今回のアルバムの中で最初にレコーディングした曲なんですよ。そういうこともあって、色々な意味で始まりに相応しい曲になった気がします。

――続く「Smiling&Smiling」もピアノの旋律が心地よい、爽やかな曲ですね。

表現の幅が広いピアノの良さが全面に出ている曲です。穏やかさのなかに明るさもあって、歌っているほうも休まるような、癒しの一曲となりました。

――ライブではしっとりと聞けそうな曲です。

個人的には、バンドのサウンドによって違う表現方法もできるかなと思っています。今回のツアーも生バンドでやることが決まっているので、どうなるのか、まだちょっと想像がつかないですが楽しみです。

――ライブでの披露、楽しみにしています! 先ほどの2曲に対して「Spiral Flow」は重低音が響く曲で、曲調もガラッと変わりました。

この曲は、今回のアルバムでどうしても作曲していただきたかった、AJURIKAさんに作っていただいたものです。8年ほど前に「もしデビューするときは僕に作らせてください」とAJURIKAさんに言っていただいたので、その約束を果たす時だと思ってお願いしました。ただ、歌うのは難しかったですね。

――どのような点が難しかったでしょうか?

クラブサウンドが得意というわけではないので、どういう表現方法が最適・最良なのか分からかったからですね。淡々としていたほうがカッコいいのか、もっと感情的になったほうがいいのかなど色々と考えた結果、ニュアンスは付けつつ、でも技巧的になりすぎない表現でレコーディングしました。アルバムの中だと異質なものに仕上がっている気がしています。アルバムすべての曲のバランスをとる「マスタリング」という作業にも参加させていただきましたが、そこでもアンバランスになるのは分かったうえで、すごく尖らせてくれとお願いしました。

――そんなアンバランスな曲をアルバムの真ん中に持ってきているんですね。

前2曲から空気を変えたかったんですよ。次の「Anti-Gravity」もサイバー系の曲なので、その先鋒としてはいいのかなと思っています。

――「Anti-Gravity」は個人的にアニメのOP曲っぽいと感じました。

そうなんですね。私としてはあんまり聞きなれない曲調だったので、この曲もレコーディングが難しかったです。でも、ライブでどのような景色が見られるのか、楽しみな曲でもありますね。

――ライブという話でいえばアルバム7曲目の「Shining Days」はアップテンポな曲で、ライブで盛り上がれそうです。沼倉さんの得意なダンスも期待できそうだなと。

嬉しい話ですが、まだライブの構成が決まっていないので、期待されると困りますね(笑)。この曲は「私らしさ」という点で悩みました。

――「私らしさ」でしょうか?

はい。曲調に合わせすぎるとキャラっぽくなってしまったんです。正直、出来上がるまで悩んでいたのですが、出来上がった曲を聴いてみたら「私らしさ」が見つかって。

――どのような点が「私らしい」と思ったのでしょうか?

「今がもう最高だなんて思わないこともないんだけど」っていう歌詞があるのですが、これ、すごくひねくれてませんか? この歌詞を見て素直じゃないところがある、あぁ、私らしいなと感じたんです。それから、「私の曲だな」と思えるようになりました。

――ライブではどのように「私らしさ」を表現されるのか、楽しみです。続く「ハレルヤDrive!」は思わず手拍子がしたくなるような前奏や間奏が楽しい曲ですね。

とても好みの曲調なんですよ。ライブでも映えそうで、いい役割を果たしてくれる気がしています。

――9曲目の「Hello,Ms.myself」は、2番のサビ終わりで長い伸ばしの部分があり、そこがとても印象的でした。

そこの部分も含めて、レコーディング時に苦労した曲でした。仮歌が男性の方だったのでそれに引っ張られたのか、ディレクションで女性らしい柔らかさが欲しいんだよと指摘を受けました。私、穏やかな曲を歌おうとすると、どうしても声量がなくなっちゃうクセがあって。でもこの曲はそんなことではいい曲にはならないと思い、時間をかけてレコーディングしました。その結果、ちょっとだけクセをとって歌えるようになった気がします。

――沼倉さんは歌もダンスもお上手なので、何かに苦手意識があるとは思っていませんでした。

いえいえ、できないことばっかりですよ。特にバラードは苦手なんです。アルバムに収録されている「屋根上の朱い花」がバラードなのですが、「Hello,Ms.myself」以上に時間をかけてレコーディングしました。キーをあえて高めにし、ファルセットを多く使う歌い方をしているので、とても難しかったです。ただ、今回バラードを歌えたのは私にとって大きなことでした。

――苦手意識のあった曲にも挑戦できて、成長に繋がった?

そうですね。冒頭でも言ったほうに、新しい自分を発見できたような気がします。

ライブ感を大切に

――今回のアルバムを引っ提げて、8月12日からは初めてのツアーも始まります。ご自身としてはどのようなライブにしたいですか?

せっかく生バンドでやらせてもらえるので、絶対にライブ感というのは大事にしたいです。また、魅せる、聞かせるよりは皆さんと楽しめるライブにしたいですね。何をするかはまだ分かりませんが、キレイなものよりかは多少ごちゃごちゃでも楽しかったと言ってもらえたらなと思います。

――沼倉さんならきっと理想のライブを実現できると思います! 最後にひとつ、ライブ以降これからどのような活動をしていきたいか教えていただいてもよろしいでしょうか?

まず先日できたファンクラブ「AREA NU」で、何かしら面白いイベントができたらいいですね。あと、アーティスト活動においてはライブ主体でやっていければ、と思っています。もちろんある程度の結果が必要ですし、すぐに意見を変えるタイプなのでツアーが終わったら違う見方になっているかもしれませんが(笑)。いずれにせよ、今回のツアーという挑戦を成功させて、次に進んでいきたいと思います。

――次はライブが生活の一部になっているかもしれませんね。

それはそれで、素敵なことだと思います。

沼倉愛美1stアルバム『My LIVE』

●初回限定盤A
価格:3,800円(税抜)
内容:CD(12曲収録)+Blu-ray(「叫べ」「Climber’s High!」「My LIVE」のMVとメイキング映像を収録)
,●初回限定盤B
価格:3,500円(税抜)
内容:CD(12曲収録)+フォトブック(32P)
●通常盤
価格:3,000円(税抜)
内容:CD(12曲収録)
●収録曲
01.叫べ
02.Climber's High!
03.Good Day
04.Smiling&Smiling
05.Spiral Flow
06.Anti-Gravity
07.Shining Days
08.ハレルヤDrive!
09.Hello,Ms.myself
10.屋根上の朱い花
11.暁
12.My LIVE

通常盤(CD)

初回限定盤A(CD+Blu-ray)

初回限定盤B(CD+Blu-ray)


●沼倉愛美 1st LIVE TOUR 「My LIVE」
8月12日…大阪・Zepp Osaka Bayside
8月14日…名古屋・ダイヤモンドホール
8月20日…東京・Zepp Tokyo DiverCit