トヨタ自動車の北米事業体である「Toyota Motor North America, Inc.(TMNA)」は、FC(燃料電池)技術の大型商用車への応用可能性を検証するため、今夏から米国カリフォルニア州ロサンゼルス港でFCシステムを搭載した大型商用トラックの実証実験を開始すると発表した。

実験車両のFC大型商用トラック

実証開始に先立ち、現地時間19日、CARB(カリフォルニア州大気資源局)やCEC(カリフォルニア州エネルギー委員会)など州政府関係者出席の下、ロサンゼルス港で開催するイベントにて、開発した実験車両を公開する。

この実証実験はFC技術の応用拡大に向けた取組みであるとともに、カリフォルニア州の港湾における環境対策への貢献の一環となっている。2006年に策定された「港湾大気浄化行動計画(Ports Clean Air Action Plan)」を通じて、ロングビーチ港やロサンゼルス港は大気汚染物質の削減に取り組んできたが、いまでも大気汚染物質の多くは大型商用トラックから排出されているなど課題は残る。同社としては、FC技術応用を通じてそのような課題を解決し、さらなる環境改善への貢献もめざしていくとのこと。

実証実験で使用するFC大型商用トラックは、燃料電池自動車「ミライ」のFCスタック(発電機)2基と12kWhの駆動用バッテリーを搭載することで、約500kWの出力と約1,800N・mのトルク性能を確保し、貨物を含めて総重量約36トンでの走行を可能とした。通常運行における推定航続距離は、満充填時で約320kmと見込んでいる。

トヨタは水素を将来の有力なエネルギーと位置付け、水素社会実現に向けた取組みを続けてきた。米国カリフォルニア州においては、ファーストエレメント・フューエル(FirstElement Fuel)のステーション運営を資金面で支援しているほか、ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)とは水素ステーション網の拡充に向けた協力を進めている。

日本では2017年2月に東京都で初めてFCバスの販売を開始し、今後は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のFCバスを導入予定。トヨタグループとしてはFCフォークリフトなど燃料電池の幅広い応用を含めた技術開発・商品展開を推進しており、今後も水素社会の実現に向けてさらなる取り組みを進めていくとしている。