本社にも店舗にも「主体性」を発揮することを求める紫関氏。店舗では自主的にミーティングを開き、どのように新商品をアピールしていくか、知恵を絞るスタッフも現れ始めている。では、本社の意識改革はどのように進んでいるのだろうか。

価格帯の拡大に挑戦

FKの主体性が見てとれるのは商品戦略、とりわけ高価格帯に挑戦しようとする姿勢だ。

高価格帯商品の販売は、実はハンバーガーチェーン各社が何度もトライしている施策だ。他社の例だが、以前は1,000円のハンバーガー3種を毎週日曜日に限定販売するという試みが登場したこともある。高価格バーガーは話題を呼んだが、その会社のブランドに高価格帯バーガーはマッチしなかった。

300円台のハンバーガーを主体とするFKも、過去には高価格帯の商品を販売したことがあった。しかし、現在のメニューに単品で500円を超えるバーガーの用意がないことからも分かる通り、FKの高価格バーガーは定着していない。

「売るか売らないか」が重要と語る紫関氏

実際のところ、300円台のバーガーで勝負し続けたのでは日本マクドナルドと正面からぶつかることになってしまうので、価格帯を広げることは、FKの規模のバーガーチェーンではトライする価値のある施策だ。しかし、これは一般論だが、商品開発のセクションが高価格バーガーを提案したとしても、営業から「うちでは売れない」という声が挙がり、企画が立ち消えになるというケースは珍しくない。

「売れるか売れないかではなく、売るか売らないかだ」。FKの価格帯を広げたいと語る紫関氏は、既存商品に比べ価格の高い商品を投入する際の心構えをこのように語る。売れない、つまり客が買ってくれないという考え方が受動的であるのに対し、売るか売らないかは、あくまで売る側の考え方ひとつに掛かってくる。「売る」という姿勢の基盤となるのは主体性だ。

「FKにはブランドがあり、居心地のいい店舗もあるので、(高価格のバーガーが)売れないわけはない」と考える紫関氏は、それまでバーガーメニューが300円台のみだったFKに400円台の商品を追加した。結果としては、こういった商品も売れているという。今後は同社初となる500円台のバーガーにも挑戦する意向だ。