ビジネスシーンで上司や取引先などに返事をする際、どのような言葉を選んだらいいのか分からず、思わず戸惑ってしまった……といった経験はないだろうか。今回は、目上の人に対する返答の言葉遣いについて、敬語コミュニケーション講師を務める山岸弘子さんにご解説いただいた。

目上の人に対して、適切な返答の仕方は?

Q.目上の人に「了解です」「大丈夫です」と返事をするのは正しい表現ではないのでしょうか?

■「了解です」、社外は×
40代以上の社会人からよく聞くのは「自分より若い社外の人から『了解です』というメールが届き驚いた」という声です。「了解です」という言葉は、指示・命令系統がはっきりしている職場や、危険を伴う作業を行っている職場などで使われる場合もあります。ただ、社外の人に使うと違和感を与えてしまうでしょう。

■「大丈夫です」は?
「大丈夫です」という表現は、使われるシーンが増えました。例えば、美容室で「かゆいところは、ございませんか?」「大丈夫です」、飲食店で「水のお替わりはよろしいですか?」「大丈夫です」といった場合、それぞれ「ありません」「必要ありません」という意味で使われています。

一方、例として「食事に行きませんか?」「あ、大丈夫です」といったときに使う「大丈夫です」は、「行くことができます」「心配ご無用です」と解釈がされます。このように誤解されやすい言葉なので、できるだけ他の言葉に言い換えた方がよいですね。

適切な返答のパターン

目上の人に対しての返答は、関係や状況によって使い分けられています。一番軽いものが「わかりました」、次が「承知しました」、続いて「承知いたしました」、「かしこまりました」を使うと丁寧さのレベルが上がります。

返答する相手が、社外の人の場合は「承知いたしました」「かしこまりました」のレベルを使うと、丁寧な敬語をしっかり使える人という印象を与えることができるでしょう。また、社内であっても、社会的距離が離れた上司に対しては、「承知いたしました」「かしこまりました」が使われている職場もあります。

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監修プロフィール:山岸弘子
敬語コミュニケーション講師
NHK学園で講師を務め、NHK「視点論点」にて敬語の解説を担当。
国内最大手航空会社社内教育、教師研修などに携わる。
著書に『あたりまえだけどなかなかできない敬語のルール』『臨床現場で求められるコミュニケーションのヒント』などがある。