長谷川町子美術館の川口淳二館長

アニメ放送が開始されて48年、原作が誕生して71年という長きにわたって愛される『サザエさん』。この日も、子供たちからの人気ぶりが伺えたが、幅広い世代から支持を集めることについて、長谷川町子美術館の川口館長は「まずは、フジテレビさんが長きにわたってアニメを放送していただいていること。そして、サザエさんの"家族感"が皆さんに親しみやすいのではないでしょうか」と語る。

川口館長がサザエさんとともに熊本に来たのは、今回が3回目だそうだが、昨年6月に初訪問したときとは「皆さんの笑顔が違ってきているんです。熊本の方々はすごく立ち直りが早いように思いました」と、着実に復興が進んでいることを実感したそうだ。

フジテレビ系列(FNS)のチャリティーでは「サザエさん募金」と名前を冠するサザエさんは、東日本大震災の復興支援でも被災地を訪問しており、「みんな喜んでくれるんです」(川口館長)と、どの地域でも老若男女に愛されるキャラクター。今年の秋に行われる「東北・みやぎ復興マラソン」では、サザエさんが"スペシャルアンバサダー"を務めることになっており、川口館長は「ご要望があれば、フジテレビさんと一緒にどこでもお邪魔したいと思います」と意欲を示した。

久代萌美アナ

司会を務めた久代アナは「小さい子もいましたし、お母さん、おばあちゃんの代までみんなで盛り上がれる『サザエさん』。歌もみんなが歌えて、登場するとあんなにテンションが上がって、すごいなぁとあらためて実感しました」と感想。サザエさんと同じように、久代アナもサイン攻めにあっており、「ああやって子供たちが来てくれるのは、うれしいですね」と、国民的キャラクターと並んでの人気を受けて、喜んでいた。

震災後に熊本を訪れたのは、今回が初めてだそうで、「テレビを通してでしか見ていなかったので、実際に熊本城などを見ると、まだまだ復興ができていないなというところも目の当たりにして、東京に住んでいても、熊本を応援していかないと、と思いました」と決意を新たにした様子。それでも、今回のイベントで「笑顔と元気さはすぐに伝わってきたので、そこは安心しました」と印象を語った。

熊本県嘉島町の避難所に設置したテレビ

フジテレビCSR推進室の高橋愛副部長

フジテレビの「ずっとおうえんプロジェクト」は、東日本大震災直後に立ち上げた「こどもおうえんプロジェクト」が前身。被災地の幼稚園と連絡をした際に、ただ物資を送られてくるだけでは困るという声を受けたことをきっかけに、今回のような上映会や、食育の出前授業などを展開している。その活動の基本は"普段の生活に近いこと"で、伊豆大島の台風被害や、茨城・常総市の洪水被害の被災地にも訪問してきた。

そんな中、熊本地震の避難所に、テレビが設置されていないということを知り、無償でテレビ・DVDの視聴環境を整える支援活動も実施。この功績が認められて、今月15日には「第26回中央非常通信協議会表彰」を受賞した。民放テレビ局がこの表彰を受けるのは、1995年の阪神・淡路大震災のときの活動が評価されたサンテレビ以来、22年ぶり2度目のことだ。

フジテレビ放送文化推進局CSR推進室の高橋愛副部長は「"普段の生活を取り戻したい"ということで、テレビが求められていたので、テレビ局としては涙が出るくらいありがたいです」と、受賞よりも被災者に必要とされていることへの喜びを語っている。

『サザエさん 放送2400回記念スペシャル』(26日18:00~19:00)
「夢いっぱいの春休み~熊本・大分旅行~」では、サザエさん一家が、大分の別府温泉で地獄巡りをするほか、温泉グルメに舌鼓。熊本では、阿蘇の絶景を見たり、御船町にある恐竜博物館を訪れたり、天草で古くから伝わる大凧・バラモン凧の凧上げにも挑戦する。他にも3つのエピソードを放送。