映画『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』の舞台挨拶が公開初日の3月11日に新宿ピカデリーで行われ、田口清隆監督、主演のクレナイ ガイ役・石黒英雄ほか主要キャストが登壇。映画にかける熱き思いを語った。

左から、ねりお弘晃、髙橋直人、松浦雅、石黒英雄、ウルトラマンオーブ(オーブトリニティ)、柳沢慎吾、青柳尊哉、田口清隆監督

『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』は、2016年にテレビ東京系で放送されたテレビシリーズ『ウルトラマンオーブ』の最終回の"その後"を描いた物語。闇のアイテム・ダークリングを使って地球を宝石に変えようと企む宇宙魔女賊ムルナウ(演:椿鬼奴)の野望を粉砕するべく、ふたたび日本に舞い戻ったクレナイ ガイことウルトラマンオーブが激しい戦いを繰り広げる。オーブのほか、ウルトラマンゼロ、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリー、ウルトラマンエックスと、新世代ウルトラマンたちが続々と登場する上に、今年で放送開始から50年となるレジェンドヒーロー・ウルトラセブンもゲスト出演を果たしている。

新時代の特撮映像を担う田口清隆監督が自身のあふれる「怪獣愛」を盛り込んだ珠玉の特撮カットの数々は、子どもたちだけでなく目の肥えた特撮ファン、映画ファンをもうならせる確かなクオリティ。造型スタッフ入魂の精密な都市のミニチュアセットやモンスタースーツによって醸し出される迫力が、卓越した画面演出とデジタル技術によって何倍にも増幅されている。そして「実際に街のど真ん中で怪獣とウルトラマンが戦う様子をデジカメで動画撮影したら、こんな画面になるのではないか」といった、シミュレーション的なリアリズムを追求した"田口アングル"というべき特徴的なカメラアングルは本作でもぞんぶんに発揮されている。

そういった意味でも、この映画は怪獣や宇宙人とウルトラマンオーブの巨大バトル、そしてクレナイ ガイと等身大宇宙人との格闘戦など、全編にわたってスピーディなアクションが展開する一大娯楽巨編として、大人から子どもまで幅広い世代が一緒になって楽しめる作品となっている。

上映後の舞台あいさつには、テレビシリーズ『ウルトラマンオーブ』から今回の映画まで大活躍してきたレギュラーメンバーが初めて勢ぞろいを果たし、抜群のチームワークで映画の撮影裏話やおすすめシーンなどを語り合った。

テレビシリーズ最終回で夕陽の彼方へと姿を消したが、地球の危機を察知してふたたび日本へ戻ってきたウルトラマンオーブ/クレナイ ガイを演じる石黒英雄は、劇場に集まった大勢の子どもたちからの熱い声援を浴びて大感激。「絆の力、おかりします!」のタイトルにちなんで、レギュラーメンバーでは誰の力を借りるとしたら?と問われると「映画では常に、(スタッフ、キャスト)みなさんの力を借りていました。個人的には(柳沢)慎吾さんの"場をなごます力""盛り上げる力""人を立てる優しさの力"をお借りしたいです。あと、こんな面白い映画を作る田口(清隆)監督の頭の中を見てみたいですね!」と、先輩俳優の柳沢や田口監督を大いにリスペクトしていた。

怪奇現象追跡サイト「SSP(サムシング・サーチ・ピープル)」のキャップを務める本作のヒロイン・夢野ナオミを快活に演じた松浦雅は、テレビシリーズではアルバイトに勤しんで活動費を稼ぐという設定ゆえ、数々の奇抜なコスチューム姿を披露した。映画でも、かなりユニークなコスチュームを身に着け、しかも凶悪宇宙人を相手にハードなアクションにも挑戦している。これについて松浦は「最初スタントの方が私に代わって演じてくださるはずだったんですけれど、私が以前ダンスをやっていたのをどなたかが聞いていて、それで私自身がアクションをすることに……」と、照れながらコメントしていた。

危険を冒しながらも怪獣やオーブの姿をカメラに収めるSSPの撮影担当・早見ジェッタ役の髙橋直人は「あまり直接みなさんの反応を聞いたりする機会がないので、素直にうれしい」と、大勢の子どもたちを目の前にして笑顔で感想を述べた。そして本作で映画を観ている子どもたちにオーブへの応援を呼びかける、というジェッタの重要な場面について「応援って、不利なマイナス状況をプラスに変えてくれる。応援する側も、受け取る側も、お互いにパワーを受け取っているという気持ちがあります」とにこやかに語った。

SSPの調査・分析を担当し、豊富な知識を駆使して数々の特殊装備を発明する天才青年の松戸シン役・ねりお弘晃は、映画でも新発明の装備を手にして大奮闘。いままでの発明品で気に入っているものは?と問われると「未完成なんですけれど、タイムマシーンが出てきました。シンだったらいつか完成できるかな、と思うんです。唯一フラグが回収できていない発明品なので、ぜひどこかで叶えてほしい」と、自身の役柄と数々の発明品に対する熱い思いをのぞかせた。

かつてはガイの相棒だったが闇の力に染まり、オーブの宿敵として幾度も対立したジャグラス ジャグラーを演じる青柳尊哉は、映画では宇宙魔女賊ムルナウの執事に就職(?)を果たしていた。テレビシリーズ最終回で生死不明となってから、映画で執事になるまでジャグラーは何をしていた?という質問に対しては、石黒の「そりゃもうバイトの面接に落ちて、落ちて、落ちてね」という言葉を受け、「書類取って、わざわざ証明写真撮って。就職するのに必要なのは"就活"ですよね。いかにしてクレナイ ガイを倒すかに集中した就活期間でした」と不敵に笑うと、すかさず石黒から「もう違うこと見つけな?」とキツい一言が入り、客席は爆笑に包まれた。この日、青柳は劇中と同じく執事のコスチュームに身を包んでいたが、石黒から「今日は歌舞伎町から来たの?」、柳沢からは「朝帰り?」とナイスなボケを入れられ、「そうそう、さっきまで(24時間営業の)ソバ食べてた……って、バカ!」と絶妙なるノリツッコミを返していた。

ナオミの叔父で、地球を守る特捜チーム「ビートル隊」に属し、「情報特務隊長」を務める偉い人だとテレビシリーズ最終回にて判明した渋川一徹役・柳沢慎吾は、映画の感想を求められて「すごかったですね。オーブが戦うところなんてすばらしいです。どうやって演出してるんでしょうね、田口監督!」と冴えわたる田口演出を絶賛。そして、ガイが仲間たちと別れて去っていくラストシーンでは、柳沢お得意の決めゼリフ「あばよ!」が効果的に使われていることをアピールした。柳沢は自分のセリフについて「実は本番の直前、監督に『僕のセリフを『いい夢見ろよ!』にしましょうか』と提案したんですが、やっぱり『あばよ!』でいきましょうって(笑)」と、撮影での裏話を明かしていた。また、石黒からは「渋川さんが大爆発を背に受けて決めているシーンもカッコよかったですね。あそこは試写でも盛り上がりましたよ! 慎吾さんはあそこで、目に砂が入っても一切目薬をささずに、充血した目を生かしつつカメラの前に立っていました。役者の鑑です!」と褒められ、照れまくっていた。

昨年の『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』に続いてウルトラマン映画のメガホンをとった田口清隆監督は、「この映画は劇場の大きなスクリーンでご覧になっていただくことを前提に作った作品。大勢のみなさんで集まって、子どもたちに声を出しながら観てほしかった映画ですから、今日はそういう形で観てもらえて本当によかったです」とあいさつし、観客からのひときわ大きな拍手を集めた。

また田口監督は、テレビシリーズおよび本作で脚本を手がけた中野貴雄氏と『オーブ』の今後についてひそかな構想をしていることを明らかにした。それは「ウルトラマンオーブ エピソード10構想」というもの。「テレビシリーズはエピソード6、この劇場版がエピソード7、そしてAmazonプライムビデオで配信中(全12話)の『オーブTHE ORIGIN SAGA』がエピソード1にあたります。みなさんはまだ1と6と7しかオーブの物語ご覧になっていないわけです。『ORIGIN SAGA』のジャグラーがなぜこんな風になったのか、小鹿のようだったガイさんがなぜ今のように変わったのか、そして劇場版のあと2人はどうなっていくのかなど、お正月に中野さんの飲み屋(大怪獣サロン/中野区)で2人して構想していました。それがみなさんのもとに届くかは、とにかく映画のヒットにかかっていますので、今後とも応援よろしくお願いします!」と熱く語り、観客から興奮に満ちた歓声と拍手を浴びた。

映画では、ムルナウが送り込んだ奇機械怪獣デアボリック、奇機械宇宙人ガピア星人サデスといった超強力怪獣・宇宙人に対抗するため、ウルトラマンオーブはウルトラマンエックス、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリーの「3つの光の力」をかり、まったく新しい姿「オーブトリニティ」に変身を果たす。ステージでは石黒が新たなるアイテム「オーブスラッシャー」を構えてポーズを取り、さっそうとオーブトリニティが登場。3月6日に55歳の誕生日を迎えた柳沢を祝うべく花束を手にしたオーブトリニティは、突然のサプライズで感激している柳沢とガッチリ握手を交わした。

石黒は最後に「田口監督含め、レギュラーメンバーと一緒に初日の舞台に立てたことで、僕は本当に幸せ者だと思います。これからもウルトラマンは終わりません。僕たちキャスト、そしてウルトラマンがみなさんの心の中に勇気と希望を与えていきます。応援よろしくお願いします!」とウルトラマンシリーズを愛するファンに向け、改めて熱き応援を呼びかけた。

映画『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』は東京・新宿ピカデリーほか全国劇場にて公開中。