マツダ車からの乗り換えが6割超

新型CX-5の受注状況を詳しく見ると、販売戦略が奏功しているのがよく分かる。注目したいのは、新型を購入した人の下取り車の内訳だ。マツダ車からの乗り換えは全体の66%となっている。

自動車業界で中堅メーカーの位置にあるマツダは、トヨタ自動車などと比べると販売台数の母数が相対的に低い。そのため、これまでのマツダでは、新車の受注が好調であればあるほど、他社からの乗り換えや新規の顧客の割合が高くなる傾向にあり、時には他社ユーザーと新規の流入が6~7割に達することもあったという。CX-5の受注状況について話を聞いたマツダ国内営業本部の高場武一郎氏は、マツダ車からの乗り換えが6割を超えた今回の状況を「画期的」だと語っていた。

CX-5の受注状況についてお話を伺ったマツダの高場氏

下取り車のうち、39%が先代CX-5である点も特筆すべきだろう。先代は発売から5年しか経っていないが、それでも乗り換える人がこれだけいる要因としては、やはりマツダの販売戦略が効いていると見るべきだ。

マツダファンは固定化するか

新世代商品群で最初にフルモデルチェンジを実施したCX-5は、マツダ車からの乗り換え客を多く獲得した。この結果を見れば、今後フルモデルチェンジを受ける他の車種で同じ事が起こっても不思議ではない。これから新型が登場する車種でも同じ状況が続けば、それはつまり、マツダ車の乗り換えを続ける顧客、すなわちファンが固定化していることを意味する。

乗り換えやすさはマツダの販売台数増加に直結するはずだ。マツダ車を乗り換える人の買い替えサイクルが半分になれば、販売台数は単純に倍増するからだ。つまり、10年で乗り換えていた人が5年で乗り換えるようになれば、その10年で売れるマツダ車は1台から2台に増えるという計算が成り立つ。買い替えサイクルが短くなれば、中古車市場に状態の良いマツダ車が増えるので、マツダ車デビューを考える人にとっては選択の幅が広がることにもなる。

国内販売で苦戦しているといわれるマツダだが、新世代商品群の商品価値は市場に浸透しつつあり、商品力の向上と車の両輪の関係にある販売戦略も功を奏し始めている。新車を安易な値引きでは売らず、そのブランド力で売ろうとしている姿勢がマツダファンの固定化に結びつけば、同社の国内販売台数は安定的な数字をキープできるはずだし、ファンを増やすことで台数の更なる拡大を狙うことも可能となるだろう。