マックとグルメバーガー、実は競合しない?

しかし、マックの本当のライバルは外資系のグルメバーガー勢ではない。なぜなら両者に顧客が求めるものも、両者が顧客に提供できる価値も異なるからである。

マックに高級・高額なハンバーガーを食べに来店する顧客は恐らく多くない。マックの顧客が想定する単価と、例えばシェイクシャックの顧客の単価は大幅に異なるからだ。この視点から見る限り、高級ハンバーガーチェーンやファミリーレストランなど、客単価が1,000円を超えてくる業態とマックは競合しない。

マックは客単価が1,000円を超えてくる他社とは競合しない

やはり、マックの顧客が求める価格帯は、バリューランチやお手頃マックの価格帯なのである。いわゆるワンコイン帯と呼ばれる領域だ。この辺りを念頭において、マックが何を目指すべきかを考えてみたい。

次の一歩へマックは何をすべきか

マックが2017年1月の商品発表会で語った言葉は「モダンバーガーレストラン」。コーヒーの刷新に始まり、ハンバーガー総選挙、そして期間限定商品としての「チキンタツタ」の登場など、話題に事欠かない2017年のスタートとはなった。

決算発表の場で具体的な商品戦略は明かされなかったが、ビジネスリカバリープランという「再生・回復」から歩を進めて、これからは「強化」の段階に進んでいくことは示された。現在は購入と受け取り窓口の分離を図ることや、決済手段の多様化などを模索している様子。NTTドコモの「dポイント」を導入したのも最近のことだ。

では、顧客は何を望んでいるのか。店舗調査にて、しばしば顧客から耳にするのが店舗資源の再活用の話だ。例えば、喫煙スペースだった場所の有効活用を希望する声をよく聞く。店舗所在地によって求められる機能は異なるが、例えば子供たちが安心して、多少の騒音は気にせず過ごすことのできるスペースだったり、逆に喧騒を離れて過ごしたい顧客に向けたスペースだったりと、「この場所が〇〇だったらいいのに」という顧客からの声は多い。

ホップ、ステップ、ジャンプではないが、一旦は地に落ちたファストフード業界の旗手がかつての勢いを取り戻す時、どのような商品、サービス、店舗運営を行い、顧客の舌と心をつかむのか。カサノバ氏はマックが「大きな成長可能性」を持つというが、それがどのような形で表現されるのかが楽しみだ。