神戸市交通局は5日、名谷車両基地にて「市電デザイン列車」撮影会・特別試乗会を開催した。今年は「東洋一の市電」といわれた神戸市電開業100周年、神戸市営地下鉄開業40周年にあたり、その特別企画として地下鉄3000形1編成を神戸市電カラーに塗装した。当日は「市電デザイン列車」の試乗会と神戸市電の車両が特別に公開された。
当日は約1,300名の応募の中から抽選で選ばれた定員200名がグループ分けされた上で、イベントに参加した。最初に「市電デザイン列車」となった編成を見学した。6両編成のうち、西神中央方先頭車1両(3126)が1919(大正8)年に製造された公営化初の車両をイメージした塗装となった。阪急電車に似た小豆色をベースとしながらも、側面の金枠と神戸市章がアクセントになっている。
残り5両(3226・3326・3426・3526・3626)は1935(昭和10)年に製造された700形「ロマンス・カー」をイメージしたカラーリングに。緑色をベースとした2色塗りで、神戸市電を象徴するカラーリングだという。現行の塗装と比較すると重厚な印象を受けた。
2018年度から西神・山手線に導入される予定の新型車両6000形の紹介も |
3226号車の車番。神戸市電時代より丸みを帯びたが、基本的なデザインは踏襲している |
3126号車を除く5両はグリーンを基調としたツートンカラーとなった |
車内に入ると、中吊り部やドア横に歴代の神戸市電の車両と神戸市営地下鉄の車両が紹介され、2018年度に登場予定の新型車両6000形も紹介された。神戸市営地下鉄西神・山手線を走る車両の車番のデザインは基本的に神戸市電時代から踏襲している。担当者によると、6000形の車番のデザインも神戸市電からの伝統を引き継ぐことになっているそうだ。
「市電デザイン列車」はその後、車両基地構内を走行した。車内からは車両基地に停まっていた神戸市営地下鉄の車両を眺めることができた。普段は立ち入れない車両基地を走るとあって、多くの子供たちが興味深そうに車窓を眺めていた。
神戸市電の車両が保存されている市電庫の見学も行われた。市電庫には1937(昭和12)年に製造された800形と、「ロマンス・カー」で有名な700形が保存されている。どちらの車両も「東洋一の市電」といわれた神戸市電にふさわしく、精悍な顔立ちとなっている。
800形の車内はロングシートで、昭和40年代に使用された車掌の外套が展示されていた。一方、700形の車内は750形から流用したクロスシートが並び、独特の雰囲気を醸し出していた。車内では神戸市電の走行音が流され、まるで市電に乗車しているような感覚になった。市電庫には神戸市電の方向幕や系統板も展示されていた。
この日は天候にも恵まれ、多くの親子連れが神戸市営地下鉄の車両に親しんでいた。「市電デザイン列車」は3月13日から西神・山手線で運行開始する予定だ。