ここ数年、度々話題となっている「ベーシックインカム」。年齢・性別などに関係なく、最低限の生活を送るのに必要な額の現金を全国民に定期的に支給するという構想だ。今回は、マイナビニュース会員のうち男女501名に「ベーシックインカムを導入してほしいと思いますか?」と質問してみた。

Q. ベーシックインカムを導入してほしいと思いますか?

導入してほしい……63.6%
導入してほしくない……36.4%

ベーシックインカムを導入してほしいと思いますか?

Q. その理由を教えてください

「導入してほしい」という人の意見

■安心できる
・「独り身だし体調も悪いので、いつ働けなくなるかわからないから」(40歳女性/埼玉県/その他/その他・専業主婦等)
・「きちんと最低限の生活が保障されるなら『人として生きる時間』が増えると考えるから。ただ、その分税金が上がると想定され、結果プラスマイナスゼロな気もする」(45歳男性/長野県/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「現金を定期的に支給されたらうれしいから」(45歳男性/三重県/放送・新聞/営業関連)

■平等になる
・「今の日本の世の中では不平等なことが多いので、ある程度は平等にすべきだから」(20歳男性/大阪府/その他/その他・専業主婦等)
・「(収入が)多い人がいるのは個人の頑張りなので不公平とは思わないが、一生懸命にしている人が生活するにも大変なのはおかしく、不公平だと思う」(39歳女性/鳥取県/その他/その他・専業主婦等)

■消費・生産性の向上につながる
・「最低限の保障があることは、結果的に生産性を上げる」(41歳男性/埼玉県/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「最低限の生活費が支給されるならば、それ以外の分で消費にも回せるので、経済が活性化すると思う」(44歳男性/神奈川県/サービス/事務・企画・経営関連)

■働き方が変わる
・「労働時間が減らせる分、いろいろな社会的活動ができそう。細かい仕事が増えて、高齢者なども働きやすくなるかもしれない」(33歳男性/山口県/教育/専門職関連)
・「現状フリーランスで活動しているが、仕事がなくて困っているから。働かなくなる人が増えるという意見もあるが、働き方の見直しや適切な仕事量の割り振りが進むと思う」(47歳男性/愛知県/ゲーム関連/IT関連技術職)
・「労働者の力が強くなって、ブラック企業が減っていくと思う。少子化対策にもなると思う」(26歳女性/山口県/食品/コンサル・金融・不動産・税理士他)

■貧困問題の解決につながる
・「障害者や母子(父子)家庭・高齢者などの社会的弱者にとっては、申請がなくても現金が受け取れ、大変に助かるシステムだと言うことです。非正規雇用者など、低賃金で働かざるを得ない労働者には非常に助かる国策だと思います」(49歳男性/富山県/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「貧困を原因とする犯罪や教育費不足を解消できるから」(39歳男性/埼玉県/建設・土木/営業関連)

■年金などの制度に変わる
・「年金、生活保護もろもろの事務が簡素化され経費削減となる。平等である」(52歳男性/宮城県/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「今すぐにとは思わないが、人口減によって年金制度が苦しくなっていくと思う。その意味で、ベーシックインカムの制度の導入は悪くないと個人的には思う」(47歳男性/東京都/その他/その他・専業主婦等)

「導入してほしくない」という人の意見

■モチベーションが下がる
・「頑張って働いているのがバカらしくなるから」(25歳女性/岐阜県/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「結局は、社会主義的な発想に過ぎず、支給金を当てに働かない人が増えるだけだ。人間は汗水流して必死には働くべきである」(56歳男性/鹿児島県/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「それで働かなくなる人が増えそうだから。一家の収入と年齢やら病歴やらを考慮して支払いを決めた方が良いかな」(50歳女性/愛知県/その他/その他・専業主婦等)
・「競争力がなくなる。貧困時代のきっかけ」(32歳男性/千葉県/建設コンサルタント/メカトロ関連技術職)
・「国民には勤労の義務があり、ベーシックインカムが導入されたら、若くて働くべき人が、一生懸命働くことがなくなるかもしれないから」(64歳女性/滋賀県/その他/その他・専業主婦等)
・「人それぞれ生活スタイルは異なるので、ベーシックインカム(の額)に正解などというものは存在しないから。幾らになろうと絶対に不満が出るに決まっているので」(47歳男性/石川県/コンピューター機器/IT関連技術職)

■財源がない・税金が増えそう
・「どこの財源から支給され、負担をだれがするのかわからない」(50歳男性/岡山県/建設・土木/営業関連)
・「余計なお金を払うことになりそうだから」(33歳男性/東京都/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「税金が上がるのは困る」(47歳男性/神奈川県/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「働かずにお金をもらうということは、税金を使うということ。その税金は、働いている人から搾取される。なぜ働かない人まで面倒を見なければいけないのか? 腹立たしい」(36歳男性/新潟県/建設・土木/建築・土木関連技術職)

■今の制度でいい
・「現在の待遇で満足」(40歳男性/大阪府/化粧品・医薬品/その他技術職)
・「若くて働き始めたばかりとか、まだ勤続年数が少なければ思いますが、自分の今の状況ではあまり適応しない気がするので、自分には要らない制度だと思います」(58歳女性/埼玉県/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)

総評

調査の結果、「ベーシックインカムを導入してほしい」という人が約7割、「してほしくない」という人は約3割だった。

それぞれの意見を見てみると、導入賛成派で最も多かったのは「安心できる」「貧困問題の解決になる」というもの。最低限の額をすべての人に保障することで、格差や労働問題の解消につながると期待する声が寄せられた。また、「経済の活性化」や「働き方の多様化」につながるという人、年金など現行制度の手間やコストを削減できるという人も多かった。

一方、反対派の意見では「働くモチベーションが下がる」という人が圧倒的に多く、経済が停滞するのではと危惧する人も見受けられた。また、導入に当たっては財源をどうするか、金額はどのように設定するかなどの問題もあるようだ。

地域実証実験が行われ、世界的にも注目が集まっているベーシックインカム。今回のアンケートでもさまざまな意見が寄せられたが、さて、あなたはどちら派だろうか?

調査時期: 2017年2月13日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女501名
調査方法: インターネットログイン式アンケート