我慢できないほど目がかゆい……

今年もまた花粉の季節がやってきた。例年3月はスギ花粉が原因の季節性アレルギー性結膜炎、いわゆる花粉症に悩む人が爆発的に増える。花粉症を発症すると苦しむ症状の一つに「目のかゆみ」がある。絶え間なく襲ってくるかゆみに耐えられず、思わずかきむしりたくなるかもしれない。

だが、かきすぎは重篤な目の障害を招く恐れがあるのをご存じだろうか。また、花粉症以外にも目のかゆみを伴う疾患は数多くあり、「かゆみは花粉症のせいだ」と思い込んでいると思わぬ疾病を見落とす可能性も出てくる。

そこで今回は、あまきクリニック院長の味木幸医師に目のかゆみを伴う病気についてうかがった。

通年性と季節性の2種類の結膜炎

アレルギー性結膜炎にかかると、まぶたの裏側と白目の部分を覆う粘膜である結膜に炎症が起きる。目のかゆみ以外にも「白目の充血」「目がゴロゴロするといった異物感」「白く粘性のある目やに」などの症状を伴うこともある。

アレルギー性結膜炎には「通年性アレルギー性結膜炎」と季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)がある。前者は目の表面にほこりやカビ、ダニなどが付着することが原因で引き起こされ、その病名の通り年間を通じて発病する可能性がある。後者は季節が限定される結膜炎で、アレルギー症状を引き起こす主なアレルゲンとしては、スギやヒノキなどの花粉がよく知られている。

「特にコンタクトレンズやまつげエクステンションをしている人は、製品に汚れがたまりやすく、汚れによるアレルギー症状も呈しやすいです。これらのアイテムによってかゆみが悪化しやすいため、かゆみがひどい人はコンタクトやまつげエクステンションの使用を減らしてもらっています」

アレルギー性結膜炎が重症化すると……

このアレルギー性結膜炎の症状が重くなると、春季カタルや巨大乳頭結膜炎といった病気にまで発展する可能性がある。

■春季カタル……重篤なアレルギー性結膜炎で一般的に子どもに多い。目が激しくかゆくなり、大量の白い粘り気のある目やにが出るという特徴がある。春から夏にかけた季節の変わり目に患者が増えることからその名がついたとされている。

■巨大乳頭結膜炎……結膜部分に乳頭と呼ばれるぶつぶつ状のできものができてしまう病気。まぶたの裏に異物がある状態のため、コンタクトを入れても違和感を覚えたり、ずれやすくなったりする。

3月、4月に治療をせずにかゆみを我慢していると、季節性のはずが慢性炎症となり、5月に春季カタルを発病するパターンも少なくないとか。アレルギー症状を呈していると、白くてねっとりしためやにが出るという特徴がある。目がかゆくて白い目やにが出る場合は、アレルギー性結膜炎や春季カタルを疑ってもよさそうだ。