ではなぜ、咳やくしゃみで肩や首、背中、腰にこりやハリを感じるのだろうか。原因は咳やくしゃみ時の姿勢にある。咳やくしゃみをする際は、どうしても体に力が入って前傾姿勢になる。いわゆる猫背の状態だ。

この状態だと肺が圧迫されているため、酸素が存分に取り込めない。「例えて言うなら、ゆるやかな酸欠状態」になるという。酸素不足は呼吸の息苦しさだけでなく、血行不良を招きこりやハリの原因にもなる。このような症状も季節性のこりとされている。

肺年齢を測定する実験では、前傾姿勢のほうが大きく肺年齢が上がることがわかる

前傾姿勢がどれほど肺の機能を制限するかも明らかになっている。同社と大谷氏が共同で行った実験で肺年齢を測定したところ、前傾姿勢の肺年齢は正しい姿勢の肺年齢よりも高くなっていた。そのプラス幅は5~23歳。この結果からも、いかに前傾姿勢が肺機能を衰えさせ、体に取り込める酸素量を減らしてしまうかがわかる。

血行を改善させて全身に酸素を送る

つらい咳やくしゃみだけではなく、そこへこりやハリも加わっているとなれば、まさに泣きっ面に蜂。このアレルギー症状とそれに伴うこり・ハリのWパンチを何とかしたいところだが、そのポイントは「血行不良の改善」にある。そして、血行の改善には磁気治療器の使用も有用だと大谷氏は解説する。40代女性のケースでは、磁気治療器を使用することで1週間ほどで肩こりの悩みが40%以上改善し、睡眠の質も向上していたという。

磁気治療器は血行の改善に有用で、こりをほぐすことで睡眠の質も上昇するという

さらにもうひとつ重要なのが呼吸の改善だ。

「全身に酸素を取り込むためには、浅くなりがちな呼吸を深い呼吸に変えることが必要。腹式呼吸でなくても、深い呼吸であればかまいません。『深呼吸をする』『鼻呼吸をする』『水分をしっかり摂(と)る』など、血行を改善し酸素を全身にいきわたらせることが重要です」

口呼吸から鼻呼吸にするだけで、呼吸の質が向上し酸素を全身におくることができる

とはいえ、アレルギー症状に苦しんでいる間はなかなか意識することが難しい。そこで日常生活の中で取り入れやすいトレーニングを大谷氏はレクチャーしてくれた。

一つは「口すぼめ呼吸」。2秒かけて鼻から息を吸い、口をすぼめて6秒かけて口から細く長く息を吐く。これを1セット10回程度、繰り返すようにする方法だ。ゆっくり息を吐くことは副交感神経を刺激するので、リラックス効果も期待できる。

もう一つは口に水を含んで呼吸する方法だ。血行を改善する方法の一つとして鼻呼吸があるが、近年はさまざまな理由から本来の鼻呼吸ではなく口呼吸になってしまっている人が増えてきている。そのような人たちにこの方法はお勧め。口に水を入れたままの状態では口呼吸ができないため、自然と鼻呼吸になるというものだ。

「口呼吸と鼻呼吸であれば断然、鼻呼吸のほうが良い。口呼吸が癖になっている人は、早急に改善したほうがよいですね」と、大谷氏は呼吸に気をつけることが大切だと締めくくってくれた。

※資料画像はすべてピップ提供