ランスタッド・ホールディング・エヌ・ヴィーは2月16日、勤務先として魅力ある企業を表彰する「ランスタッドアワード2017~エンプロイヤーブランド・リサーチ~」の結果を発表した。

今年の「最も働きたい企業」総合1位は日清食品、海外企業部門1位はアマゾンジャパンが受賞した。このレポートでは、同日、東京国際フォーラムで開催された表彰式の様子をお伝えする。

「ランスタッドアワード2017~エンプロイヤーブランド・リサーチ~」表彰式の様子

企業の魅力度を10の指標などに基づき調査選定し表彰する「ランスタッドアワード」。2017年は世界26の国と地域で実施予定で、すでに調査が終了した日本版では日系大手企業180社、外資系企業30社、注目企業10社の計220社を対象に行われた。回答者は日本国内で任意に選出された18歳~65歳の男女2,500名、調査期間は2016年11月~12月。

総合1位は「日清食品」

2017年の総合1位は日清食品ホールディングス(昨年7位)で、2012年の日本版調査開始以来、初の首位を獲得した。性年代別ランキングの女性や25歳~44歳の層で「働きたい企業」1位に選ばれたほか、学歴別では短大・専門学校卒・大卒以上でそれぞれ2位にランクインした。日清食品 CHO 執行役員 上村成彦氏は受賞の喜びを次のように語った。

上村氏「初の1位受賞にあたり、何か特別なことをしたかと振り返ってみると、思い当たったのが『カップヌードルのCMが炎上したこと』でした。昨年リリースしたカップヌードル リッチのCMで、北野武さんが『バカヤロー!』という内容です。『面白い』といってくださった方もたくさんいましたが、出演者のキャスティング等の問題もあり、『真面目にやれ』というお叱りを受けました。本当は『バカ(を)やろう』というもので、『CRAZY MAKES THE FUTURE』、常識にとらわれないで、新しいことにどんどん挑戦しようよというメッセージでした。炎上するような広告は駄目ですが、日清食品ではチャレンジングな広告を承認するカルチャーがあります。ふだんの仕事でも、より挑戦的なやり方を選ぶという風土があり、そのような点が今回評価されたのではないかと想像しています。今後とも、『バカやろう!』の精神で、おいしくて、新しくて、面白い商品をどんどん出していきたいと思っています」

日清食品が初の1位を受賞

2位はトヨタ自動車(昨年4位)で、調査開始以来初のトップ3入り。「社会的評価が高い」「財務体質が健全である」「長期にわたる安定した雇用機会がある」など10の指標のうち5項目で1位を獲得した。トヨタ自動車 東京総務部長 菅原英喜氏のコメントは以下の通り。

菅原氏「今年が始まって1カ月ほどたちましたが、年初来、日々経営環境の変化をひしひしと感じています。グループ全体のグローバル競争環境も従来の枠組みとは変わっており、激化の一途をたどっている状況です。このように厳しく先行きが不透明な環境であればあるほど、会社として株主様、販売店様、仕入れ先様、そして何よりも世界中のお客様への感謝の心を忘れないこと、お客様の顔を思い浮かべながら、『もっといい車を作ろう』という信念を持つことが重要だと考えております。そして、世界一の会社を目指すのではなく、それぞれの工場、事業所レベルで、街一番の会社になろうという意識を持つべしとしています。今年は創立80周年の節目の年となりますが、これからも『ものづくりの王道』を歩んでいきたい。『ものづくりは人づくりから』と言われます通り、賞に恥じない人材育成をやっていきたいと思っております」

3位はサントリーホールディングス(昨年1位)で、5年連続のトップ3入り。「ワークライフバランスが実現しやすい」「環境や社会に配慮している(CSR)」の2項目で1位を獲得した。サントリーホールディングス 人事部 部長 千大輔氏のコメントは以下の通り。

千氏「サントリーでは社員がいきいきと働ける会社を目指しており、昨年は健康経営と働き方改革に本格的に取り組みました。これらの活動の目的は『生産性の向上』が第一にありますが、それだけでなく、社員が心身ともに健康で毎日充実した生活を送る、あるいは柔軟な働き方によって時間を有意義に使っていくこと。そうした職場環境により、サントリーのDNAである『やってみなはれ』を社員一人一人が遺憾なく発揮していく好循環を作り出していくことができるのではないかと考えています。まだまだ道半ばですが、賞に恥じないように、これからも精進をしていく所存です」

4位は明治ホールディングス(昨年3位)、5位はパナソニック(昨年5位)、6位は日立製作所(昨年17位)、7位はキリンホールディングス(昨年2位)、8位はソニー(昨年12位)、9位はキヤノン(昨年10位)、10位は味の素(昨年14位)だった。

総合ランキング(クリックで20位まで表示)

海外1位はアマゾンジャパンが3度目の受賞

海外企業部門1位はアマゾンジャパン(昨年1位)で、2013年以来4年ぶり3回目の受賞となった。特に「刺激的でやりがいのある仕事がある」「革新的な技術を活用している」の項目が高く評価された。アマゾンジャパン 人事部 ディレクター 上田セシリア氏は受賞を受けて次のようにコメントした。

上田氏「アマゾンは『地球上で最もお客様を大切にする企業であること』を理念に掲げています。お客様には欲しいものがすべてオンライン上で見つかると感じていただけるよう、従業員はベストを追求しています。そのためには、職場において誰もが個性、ユニークさを出せる環境を実現することが重要です。それにより、すべての従業員が自分の可能性を発揮できると考えています。私たちの理念は、そうした環境ができて初めて実現できるのではないでしょうか」

2位はジョンソン・エンド・ジョンソン(昨年5位)、3位はMSD(昨年ランク外)、4位はノバルティス ファーマ(昨年10位)、5位は日本イーライリリー(昨年ランク外)となった。

海外企業部門ランキング

業界部門では花王、伊藤忠などが受賞

今回より開始された業界別ランキングでは、各業界の中で勤務先として最も魅力がある企業が表彰された。受賞企業は下記の通り。

業界別ランキング

革新的な技術を持つ企業ランキングはグーグルが受賞

革新的な技術やサービスで社会に新たな価値を提供する企業を選出した「注目企業」ランキングの1位はグーグル(昨年4位)。2位は楽天、3位はApple Japan、4位はクックパッド、5位はスターバックスコーヒージャパンとなった。

「注目企業」ランキング