JR四国は17日、特急形気動車の新型車両2600系の報道公開を実施した。デザインコンセプトは「Neo Japonisme(ネオジャポニズム)」。日本の伝統意匠を現代風にアレンジし、安らぎと先進性をあわせ持つ特急車両となった。

JR四国の新型特急形気動車2600系。2月17日に報道公開が行われた

新型特急形気動車2600系の製造は川崎重工。予讃線・土讃線・高徳線で使用される特急形気動車2000系の老朽取替を目的に新製され、このほど4両(2両編成×2編成)が完成。2月15日に高松運転所に到着したという。今回は1編成2両(1号車は2651、2号車は2601)が報道関係者らに公開され、四国で活躍する特急列車「しまんと」「あしずり」「宇和海」「うずしお」のヘッドマークも表示された。

車体はステンレス製で、外観は四国の豊かな自然に映えるディープレッドを基調に、吉兆の伝統配色「赤と金」で次世代の特急列車を彩った。「ディープレッドのラインを筆の流れにみたて、紅墨汁のにじみのごとく、赤い色彩がステンレスボディに染み入る様をゴールドの縁取りで表現」したという。連結部付近のディープレッドとゴールドを組み合わせた「X」字型のデザインがアクセントとなっており、車内においても「TRANS SHIKOKU EXPRESS」のロゴマークとして「X」字型のデザインが使用されていた。

2600系の報道公開では「しまんと」「あしずり」「宇和海」「うずしお」のヘッドマークも表示された

今回公開された2600系は2両編成。連結部付近の「X」字型のデザインも特徴

1号車の座席は紺色、2号車の座席はえんじ色に。各座席の肘掛に電源コンセントも設置された

1編成あたりの定員は98名(1号車52名、2号車46名)。客室内の腰掛は特急形電車8600系の普通車と同タイプのリクライニングシートで、可動式枕やドリンクホルダー、コートフックに加え、電源コンセントも各座席に配置した。テーブルも大型化され、モバイルパソコンなどの利用に対応する。車内は伝統と先進性を対比・強調させるデザインに。シートモケットは車両ごとに紺色(1号車)・えんじ色(2号車)で彩り、和柄をモチーフとした装飾も取り入れた。2号車の客室内に車いすスペースも設置された。

消費電力削減・メンテナンス軽減のため、客室照明などにLEDを採用。車内設備はバリアフリー整備ガイドラインを考慮し、2号車の車いす対応多機能トイレにオストメイト対応設備やベビーベッド、ベビーキープ、フィッティングボードなどを設置している。多機能トイレの隣には洗面所があり、1号車にも洋式トイレ(男女兼用 / 男性用)を備える。安全対策として、非常通報装置(SOSボタン)や防犯カメラも車内に設置された。

新型特急形気動車2600系の最高運転速度は120km/h。特急形電車8600系と同様、2600系も空気バネ式車体傾斜機構を採用した車両となる。現時点で2600系を使用する列車は未決定で、これから予讃線・土讃線・高徳線を対象に走行試験を重ねた上で使用列車を決定し、今秋をめどに運行開始する予定とのことだった。