俳優の藤原竜也と女優の鈴木京香がこのほど、テレビ朝日系スペシャルドラマ『人間の証明』(今春放送)の撮影が行われた神戸市内のホテルで取材に応じ、41年前に発表された作品を今リメイクすることの意義について語った。

『人間の証明』に出演する藤原竜也(左)と鈴木京香

同作は、1976年に発表された森村誠一のベストセラー小説が原作。母親に捨てられて「母性」に不信を抱く棟居刑事を藤原が、地位や名声を守るために「母性」を捨てた美容家・八杉恭子を鈴木が演じ、殺人事件の本格ミステリーとともに、さまざまな立場の思いが交錯する人間ドラマが展開される。

この日は、恭子が主催する華々しいパーティー会場に、棟居たちが殺人事件の捜査で乗り込んでくる場面などを撮影。緒形直人、中原丈雄といった脇を固めるキャストたちも参加して、緊迫のシーンが繰り広げられた。

そんな中で取材に応じた鈴木は、小学校当時に岡田茉莉子が出演した映画が大ヒットしたのを覚えているそうで、この役を演じることに「感慨深い」とコメント。岡田が演じた母親ぶりが強烈に印象に残っているそうで、「女優だったらみんなやりたい役だと思うんです。それをやらせていただけるというのはありがたいことですし、とにかく不思議な高揚感があります」と心境を語った。

一方の藤原は、「世間に衝撃を与えたイメージが付いている作品なので、それをやらせてもらうのは大変」と率直な感想を吐露。松田優作や渡辺謙といった名優が演じてきた役に挑むことに「才能ある人たちと比較される対象になるわけですから、本心を言えば非常にめんどうくさい役ですよ(笑)」と苦笑いしながら、「自分らしく、脚本に忠実に監督や共演者の皆さんと一緒に作っていけば、また違った『人間の証明』という作品ができるんじゃないかな」と意気込みを示した。

撮影現場の様子=テレビ朝日提供

このように、これまで何度も映像化されてきた作品だが、この2017年に再びリメイクされることについて、鈴木は「豊かにはなりましたが、今また弱いものが弱いまま這(は)い上がれないような厳しい世の中になっていきつつあるから、こういう作品が求められているのかなと感じました」と分析。

その考えに藤原も同意し、「時代とか社会情勢というのは結局回っているだけで、同じことの繰り返しだからこそ、唐十郎さんや清水邦夫さん、シェイクスピアの戯曲もそうですけど、そういう作品が求められることがあるのかなという思いがあるんです」と、今作の意義を強調した。

そんな2人は、NHK大河ドラマ『新選組!』(2004年)以来となる13年ぶりの共演で、藤原は「京香さんのいちファンなので光栄です。皆さん見てのとおり、誰からも一緒に仕事をしたい女優さんだと思います」とリスペクト。鈴木は藤原を「青年らしいさわやかさで、周囲に対して気づかいもしてくれますので、皆さんに好かれてこうやって活躍されてるんだと思います」と、絶賛していた。