テレビ局が一斉に衣替えを行った秋の番組改編。10月からタイムシフト(録画)視聴率、それとリアルタイム視聴を加味した総合視聴率の計測もスタートし、新たな指標で視聴形態が浮き彫りとなっていた中、民放キー局の編成戦略を担う「編成部長」に、今回の改編の総括と今後の展望を語ってもらった。
今回登場するのは、テレビ東京。11月に本社を移転して「変わる」イメージを大きく打ち出した一方で、他局が新番組を一挙に投入した日曜19時台は「変えず」に迎え撃ったところ、結果として視聴率は上がり、視聴習慣の重要性を再認識したという――。
――秋の改編は、プライム帯の新バラエティ番組が金曜19時の『超かわいい映像連発!どうぶつピース!!』のみでしたね。
これは、現在放送しているレギュラー番組を伸ばしたいという意向です。1個1個すべての番組を見直して、番組を強化していく作業を地道にやっているというところ。だから大幅には変えていないんですけど、これ以上は無理かなというところを今回は変えて『どうぶつピース!!』を投入しました。視聴率はおかげさまで少しずつ上がっています。かわいい映像に癒やされるというコンセプトを生かしつつ、映像集だけでなく、長尺やタイムリーな企画を入れて立たせていくことで、まだ伸びしろがあるかなと思っています。
――春の改編では『家、ついて行ってイイですか?』を土曜のゴールデンに昇格させました。こちらの状況はいかがですか?
ジワジワと視聴習慣がついてきて、12月3日に2時間半に拡大した放送では、視聴率8.7%という、特番時代を含めた歴代最高を記録しました。浅い時間でも放送するようになったので、これまでのように深夜に終電を逃した人だけでなく、先日で言うとどうぶつのイベントでインタビューしたり、昼間の画も入れながら工夫してやってきたことが、その時間にマッチして来たのかなと思いますね。『家』は、まだまだ伸ばしていきたいと思いますので、今後に期待しています。
―― 一方で、演歌・歌謡曲番組はゴールデンから撤退し、土曜午前に『~歌のワイドショー~音楽の森』をスタートさせました。
ゴールデン帯のように全世代をターゲットに勝負する中ですと、数字的には厳しかったんですが、古くからの伝統である演歌・歌謡曲は、どこかの時間帯で続けて残したいと思っています。
――『NHK紅白歌合戦』が世代交代と言われる中で、年配層のファンからテレ東さんにかかる期待は大きいと思います。
そう思っていただけるとありがたいですね。大みそか恒例の『年忘れにっぽんの歌』は、昨年から夕方に放送枠を前倒したんですが、今年は昨年より1時間遅く19時まで放送し、そこからつなげて、『紅白』を見ることもできるようにしています。
――この秋から、日曜19時が各局新番組を投入して激戦区となりましたが、迎え撃つ側となった『モヤモヤさまぁ~ず2』の状況はいかがですか?
各局新番組がスタートするということで非常に危惧をしていたんですが、視聴率の面で言うと上期よりも今の裏環境になった下期の方が、上がっているんです。これは、長くやっている番組なので、視聴習慣がついていて、地肩が強かったんだなと思っています。各局さんはこれから視聴習慣をつけていくと思いますので、安心はできませんが。
――同じく、この時間の視聴習慣がついている日テレさんも上がっています。
視聴習慣の大切さというのは、この枠であらためて実感しましたね。うちはマンネリに見えやすい番組ですので、内容的にもいろいろ変えていまして、特にアシスタントのアナウンサーを3代目の福田典子に交代したというのが分かりやすいリニューアルになりましたが、最近では福田アナのデビューの回が、一番視聴率が高いんです。
――アシスタントのアナウンサーに注目が集まる番組というのは、なかなか無いですよね。
出演者がさまぁ~ずさんを含めて3人しかいないからかもしれませんね。極めてうちらしいですが(笑)
――強力な裏番組が来ることで、現場の士気も上がっているのでしょうか?
そういう部分もありますね。今回、枠として注目されたことも、良かったんじゃないかと思います。
『モヤモヤさまぁ~ず2』(毎週日曜18:30~19:54) |
『ゆうがたサテライト』(毎週月~金曜16:54~17:45) |
――11月7日の新本社移転のタイミングで、平日の経済ニュースが、『Newsモーニングサテライト』(5:45~6:40)、『モーニングチャージ!』(6:40~7:05)、『ゆうがたサテライト』(16:54~17:45)、『ワールドビジネスサテライト(WBS)』(23:00~23:58)と、1日4番組という体制になりました。この狙いはなんですか?
他局さんとどう差別化していくかを考えたときに、テレビ東京は経済ニュースを中心にやっていくという統一感を出していくのが狙いです。『ゆうがたサテライト』になって数字は徐々に上がってきていますが、これこそ視聴習慣をつけながら、毎日いいものを届けることによって、0.1%でも視聴率を上げていくという努力を現場でやっています。
――4番組のうち『ゆうがたサテライト』の狩野恵里アナ、『WBS』の大江麻理子アナが、元『モヤさま』アシスタントですね。親しみのあるキャラクターを起用した結果でしょうか?
やっぱり『モヤさま』は注目を集める番組なので、顔と名前が売れますからね。年配層までいろんな世代の人に見ていただいているので、著名なアナウンサーが生まれていくのはいい傾向だと思っています。