生理的飛蚊症は一度現れると、基本的に消えないケースが多い。だが、脳の働きによって一時的に見えなくなることがあると味木医師は解説する。

私たちは日常生活において目や耳からさまざまな情報を受け取っているが、あまりにも受け取る情報が多すぎると情報過多に陥る。そのような状態にならないよう、脳は入ってくる情報を取捨選択して私たちの認識・認知機能をうまくマネジメントしてくれている。

「例えば耳で言うと、雑然とした部屋でいろいろな音があふれている中、自分の名前が聞こえると『何か悪口を言われていないだろうか』みたいな感じでそのしゃべり手の声に集中し、結果としてよく聞こえますよね。情報が有り余る中で『飛蚊症が必要ない』と脳が判断したら、一時的に視界から消してくれるというわけです」。

日常的に生理的飛蚊症に悩まされていると、状況によって脳の「認識させるべき情報」のプライオリティにおいて飛蚊症が低くなるときがあり、一時的に症状が消失する可能性がある。ただ、仮に消えたとしてもストレスや心配事、疲れがあると脳が落ち着かない状態になり、生理的飛蚊症を消す能力が乱れてしまう。そのため、ストレスや過労が生理的飛蚊症のトリガーになりうることを覚えておこう。

生理的飛蚊症か否かを見分ける判断材料

生理的飛蚊症は基本的に消失せず、放置しておいても問題はないケースがほとんどだ。味木医師は飛蚊症の原因が生理的か病的かを見分ける一つの目安として、「発症時のエピソードが詳細に語れる」点をあげる。「3日前に近くのスーパーへ買い物に行った際、野菜売り場で何気なくにんじんを手に取った瞬間に突然症状が現れた」などのように発症時の様子を詳細に語れるようだと要注意。

最終的に生理的飛蚊症かどうかを判断するには、医療機関で検査と診察をする必要があり、検査自体は30分程度で終わることが多い。また、生理的飛蚊症でも「今までとは違った見え方をする」などの場合では検査が必要になるケースもあるため、気になる人はきちんと医療機関を訪問するようにしよう。

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記事監修: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。