感染性胃腸炎、出社・出席停止期間は1週間前後を目安に
ただ、どれだけ自身がしっかりと予防策を講じていても、人から人へと感染するだけにどうしても防ぎきれないケースもある。もしも感染性胃腸炎になってしまった場合、激しいおう吐や下痢で小児や高齢者らが脱水症状になる可能性もあるため、食事内容には注意するようにしたい。
「発症から24時間以内はおう吐が激しいため、食べられないことが多いです。薄味のスープやみそ汁、リンゴジュースなどを与えるようにしましょう。経口補水液でもOKです。症状のピークが過ぎた回復期は、下痢の心配があるから脂っこいものと生ものは避けた方がよいです」。
あまりにも下痢がつらい場合、下痢止めの薬を服用してしまいたくなるかもしれないが、ウイルスを体外に排出しきらないといけないため、使用はご法度と覚えておこう。
感染性胃腸炎後に気になるもう一つのこととして、出社や登校再開のタイミングがある。一日も早く職場復帰したいビジネスマンもいるだろうが、周囲への感染リスクを伴うだけに選択は慎重にしてもらいたい。
ウイルスの感染力が特に強いのは症状が治まってから3~4日以内で、一般的にウイルスは体内に最長2週間程度は滞在するとされている。学校保健安全法ではノロウイルス感染に伴う出席停止期間が定められていないが、「感染拡大の恐れを限りなくゼロにする」という観点で考えれば、発症から1週間前後は学校や会社へと行かないことが望ましい。
2016年シーズンは例年より患者が多い
国立感染症研究所によると、2016年は例年に比べて早い時期から感染性腸炎患者が増え始めており、その数も例年より多くなっている。有名なインフルエンザウイルスの陰に隠れがちだが、ノロウイルスのシーズンは通常11月~4月でこれから本番を迎えるといっても過言ではない。しっかりと予防に努めてほしい。
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記事監修: 篠塚規(しのづか ただし)
千駄ヶ谷インターナショナルクリニックの院長。千葉大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学医学部勤務、医療法人社団松弘会三愛病院副院長・外科部長を務めた後、日本旅行医学会を設立。2013年5月 WHOの「INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH(ITH)」の編集会議に編集委員として参加するなど、日本における旅行医学の第一人者として活躍する。