深夜ドラマで大人気、2016年10月から4年ぶりの新シリーズが始まったテレビ東京系ドラマ『勇者ヨシヒコ』。2011年に第1弾『勇者ヨシヒコと魔王の城』、2012年に第2弾『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』が製作され、現在放送中の『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(毎週金曜 24:12~)はシリーズ第3弾となる。
俳優・山田孝之演じる勇者・ヨシヒコが、仏(佐藤二朗)の導きにより、戦士・ダンジョー(宅麻伸)、村の娘・ムラサキ(木南晴夏)、魔法使い・メレブ(ムロツヨシ)とともに様々な村を訪れ、魔王の討伐を目指す。人気RPG風の世界観に、あらゆるもののパロディ、敵は段ボールで作ったハリボテ、自ら「低予算」を謳いながら、放送される度にSNSは大盛り上がり。なぜ4年ぶりだったのか、そしてヨシヒコの魅力とは? テレビ東京・小松幸敏プロデューサーに、話を伺った。
■小松幸敏 |
お祭りみたいで、逆にプレッシャー
――4年ぶりの新作ということで、反響はかなりのものだったのかと思いますが、いかがでしょうか?
新宿で『導かれし七人』の告知イベントを行った際には、かなりの反響に驚きました。新宿アルタ前を「勇者ヨシヒコ復活! 2016年放送決定!!」と書かれた荷台を引いた馬車が歩いたというものでしたが、計算して行ったのではなく、実はまぐれみたいな感じだったので……。
元々は、RPGのゲームに出てくる飛行艇や絨毯に絡めて告知できたらいいと話が進んでいたんですが、規制と申請に時間がかかり「東京の空は飛ばせない」と言われて馬車になりました。誰も気づいてくれなかったら寂しいので、1日前にTwitterを久々に動かしてみようか、とツイートしてみたらすごい反響で「あれ!?」みたいな。まさかあんなにお祭りみたいになるとは……。
――Twitterも計算して、ティザー的に動かされたのかと思いました。
まったく!! ニュースになればいいなとは思っていたもののあまりの反響に驚きました。ものすごく期待されてて、ちょっとプレッシャーだな、と(笑)。
――ドラマの会見でも、出演者のみなさんが「ネットニュースになった」と話されてたのが印象的だったのですが、ネット媒体のニュースになるのは嬉しいものですか?
ニュースに取り上げてもらって、たくさんの人に見てもらえる作品になった方が、やはり良いと思います。ただ、これはテレビ東京の特性もあるかもしれません。全国津々浦々の方々にリアルタイムで見てもらえるわけではないし、限られた局数の中で話題を作ることを考えたら、ネットで知ってもらえることは大事なのかなと思っています。
”準備をして続編を作りたい”という4年間
――4年ぶりとなると、けっこう時間が経っているようにも思うのですが、何か意図はあったのでしょうか? テレ東→六本木三丁目移転プロジェクトに合わせてとか……。
たまたま、移転のタイミングになっただけです(笑)。パート1からパート2まで、1年しか期間があいていなかったのは、けっこう大変だったんです。僕自身もパート2ではAPとして入っていたんですが、番組の特性上、様々なところに許可もいただかなければならないためかなり時間がなく、諦めなければいけないことも多くて。
福田監督や山田さんもそこにはフラストレーションが溜まっていたので、ちょこちょこ「こんなこともやりたい、あんなこともやりたい」と話しつつ、きっちり準備をして続編を作ろう、と進めた結果、このタイミングになりました。これが5年開いていたら、演じる方も視聴者の方ももっと大人になってしまい、今とは違う反応だったかもしれないので、良いタイミングだったのかもしれません。
――仲間を集めていく話、というのは決まっていたんですが? RPGの王道ですし、少年漫画っぽい展開なのかなとも思いました。
監督からこの番組のコンセプトのひとつとして、親子で見られる「少年漫画」というキーワードが出ていたのはありますね。30代中盤からちょっと上、さらにその子供達と一緒に見れるものをやりたい、と思っていたので、少年漫画的な展開はベースにあると思います。
でもそれ以上に、監督や山田さんが4年間で溜め込んだ色々な案をもとに、「1回無茶をやってみよう」という気持ちは大きかったですね。ベースは『魔王の城』から変わっていませんが、「こんなことやっていいの!?」というインパクトは強くなった気がします(笑)。
――皆さんにとっては、ヨシヒコのことはいつもどこかに考えてた4年間だったんですね。
そうですね。『魔王の城』『悪霊の鍵』でできなかったことを、どうすれば『導かれし七人』でできるんだろう? と。