消費者庁・警察庁・金融庁は11月16日、東京・浅草フランス座演芸場東洋館にて、高齢者詐欺・トラブル啓発PRイベントを実施。ゲストには、CMキャラクターを務める女優の泉ピン子さん、お笑いコンビ・ずんの飯尾和樹さん、Web動画のキャラクターに起用されたメンタリストのDaiGoさんが登場した。
同イベントは高齢者の詐欺被害を未然に防ぐことや被害の拡大防止を図るため、2012年から行われており、今回で5回目の開催となった。
イベントの冒頭では、落語家 古今亭今輔さんが高齢者詐欺・トラブル詐欺予防を題材とした落語を披露した。「還付金詐欺」という演目で、内容は電話で振り込め詐欺の手口について孫が祖父に説明する、というもの。電話口で「保険料の過払いで、払戻金がある」と相手をだまし、携帯とキャッシュカードを持ってATMに行って振り込むように指示する内容などを表現し、注意を促した。なお、今回演じた「高齢者詐欺・トラブル予防落語」は、内閣府大臣官房政府広報室のホームページにて公開されている。
続いて登場した松本洋平内閣府副大臣は、高齢者詐欺被害の現状についてこう語った。「いま様々な手口で高齢者を狙った詐欺や高齢者が巻き込まれるお金のトラブルが増えています。自分は悪いやつには決してだまされないと思っている人ほど、詐欺の被害者になっているんです。最近は、積極的に消費活動を行うアクティブシニアも増えています。そういった方々もインターネットを利用して、身に覚えのない請求を受けたり、必要のない商品を買わされたりといったトラブルに巻き込まれている。消費者トラブルに遭わないためには、本人の注意に加え、家族や周りの方々の協力が絶対に欠かせません。
高齢者詐欺やトラブル予防は、皆が主役です。トラブルに遭ったときは、慌てずに消費者ホットラインに向けた共通番号188(いやや)まで、電話してください。専門の消費センターの者から、どのように対応したらいいのかといった具体的な助言を受けることができます」。
高齢者詐欺・トラブル詐欺はどのような手口なのか
続いて、ゲスト3人によるトークセッションが行われた。泉ピン子さんと飯尾和樹さんは、それぞれ自身や家族が詐欺トラブルに遭った経験を語った。
「友達がオレオレ詐欺にかかった話を聞いていて、『バカだね~そんなの引っかかるなんて』と言っていた2日後、『050』から始まる番号からの着信が頻繁に入っていた。聞いてみたら、ガイダンス音なんです。キチッとしたアナウンサーの声で生命保険会社と名乗り、『本日満期になっておりますので、御融資を御利用の方は1番を押してください』というアナウンスがありました」(泉さん)。番号を押しても音声がなかったことから不審だと気付き、自ら警察に通報して、被害から逃れることができたという。
「母親が詐欺に遭いそうになって、『オレだけど。風邪で緊急で病院に来ていて、保険証を忘れちゃって。注射や点滴などを打たなきゃいけなくて、50万円必要なんだけど……』と言われた、と。母親は異変に気付いて『ちょっと用意するから』と言って電話を切ったそうです。母親から電話がかかってきて、『あなた今病院にいる?』と聞かれました」(飯尾さん)。
2人の話を受けてDaiGoさんは、よくある詐欺の手口について「基本的な手口として、1つ目は、あせらせて判断能力を奪うこと。2つ目は自分は皆特別な人間だと思い込んでいるのを利用することがあります。この2つを利用すると本当に簡単に相手を、だますことができてしまう。人というのはプレッシャーをかけると、言いなりになってしまったり 、自分はだまされないし、自分のところに詐欺は来ないから大丈夫と思ったりしてしまいがちです」と指摘した。
高齢者詐欺やトラブルに遭わないためには?
イベントの終盤では、3人から高齢者詐欺・トラブルを回避するためのアドバイスが送られた。
泉さんは「まずは誰かに相談することです。私の場合は一人でしたので、警察に電話をしました」と経験を交えて助言。飯尾さんは「週に1回、家族に電話を掛けることですね。ふだんから声を聞かせたり、近況を報告しておいたりするのがいいと思います」と日頃から家族とコミュニケーションをとることの重要性を語った。
さらに、DaiGoさんは「自分はだまされない、というふうに過信をしないことです。オレオレ詐欺や投資詐欺において、詐欺師は『あなたは見る目があって今までもいろんな人を見てきているから、詐欺かどうか見分けがつきますよね』と言って、プライドをくすぐってくる。そのように言われると、自分がだまされない人間だ、人を見る目がちゃんとある、と思いたいんですよ」とメンタリストならではの視点から注意を喚起した。