気になるRSウイルス感染症の感染経路には、以下のような種類がある。
飛沫(ひまつ)感染……せきやくしゃみなどによる感染で、幼稚園などの人が密集した場所での集団感染には特に注意が必要となる。また、成人も含め年長者の再感染例では、RSウイルス感染症と自覚しないレベルの風邪のような症状が出る。そのため、知らないうちに家族間で感染させてしまうケースもある。
接触感染……ドアノブやテーブルなど、ウイルスが付着した部分に触ることに伴う接触感染もある。そのため、食器やトイレのタオルなどの共用は避けたほうがよい。
キス……日本ではあまりないかもしれないが、感染している人の唾液にRSウイルスが含まれているため、海外では親子間のキスによって感染するケースも見受けられる。
「秋のインフルエンザ」の破壊力
生後2歳までにほぼ100%の子どもを罹患(りかん)させるように、RSウイルスの感染力の強さは脅威的。インフルエンザと比較してもそん色ないどころか、それ以上とも言える。
例えば、非細菌性肺炎を引き起こすウイルスの感染力の強さを患者年齢ごとにみてみると、「0~3カ月」ではRSウイルスはA型インフルエンザウイルスよりも高頻度で細菌性肺炎を発症させる。「4カ月~5歳」でも同様に、RSウイルスの方が細菌性肺炎を引き起こす確率が高くなっている。
「『秋のインフルエンザ』と言った方がわかりやすく、それでいてインフルエンザよりも侮れないのがRSウイルスなのです」。
インフルエンザウイルスよりも認知度は低いが、その"破壊力"はインフルエンザをもしのぐRSウイルス。大事なわが子を感染症の魔の手から守るための準備は、秋から必要だということをしっかりと覚えておこう。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 篠塚規(しのづか ただし)
千駄ヶ谷インターナショナルクリニックの院長。千葉大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学医学部勤務、医療法人社団松弘会三愛病院副院長・外科部長を務めた後、日本旅行医学会を設立。2013年5月 WHOの「INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH(ITH)」の編集会議に編集委員として参加するなど、日本における旅行医学の第一人者として活躍する。