2016年8月26日の公開以来、10月8日(土)までの44日間で、動員1,061万人、興収138億円という大ヒットを記録している新海誠監督の最新作『君の名は。』が、韓国・釜山で開催されている第21回釜山国際映画祭の【ガラ・プレゼンテーション部門】に正式出品され、メイン会場である「映画の殿堂(ドゥレラウム)」にある「ハヌルヨン劇場(Haneulyeon Theater)」にて、10月9日に公式上映が行われた。
公式上映に合わせて、新海誠監督や主人公の声を担当した俳優・神木隆之介、女優・上白石萌音が現地入り。3人とも釜山国際映画祭へは初の参加で、上映に先駆けて釜山市内を散策し、高校生の恋愛ストーリーを描いた本作にちなんで、若者のデートスポットとして人気の冬柏(トンペク)公園展望台を訪れた。
釜山の印象について、新海監督は「アジア最大の国際映画祭、ずっと来てみたかったので、すごくワクワクしています。街全体で映画祭を盛り上げようとしている雰囲気をとても感じます。」とコメント。神木は「初めて釜山映画祭に参加して、未知数ですけど嬉しいです!」、上白石は「『君の名は。』は、都会と田舎をすごくリアルに描いているので、まさに"今の日本"というものがダイレクトに伝わる映画なんじゃないかなって思います。韓国の方にどう感じていただけるのかもすごく楽しみですね」と感想を語った。また、上映を前にして新海監督は、「韓国の方々は本当にアニメーションも好きだし、映画も好き。いま日本の一番新しいアニメーション映画として『君の名は。』を楽しみにしてくれているだろうと思うと、どんな反応が来るかとても緊張しますが、楽しみです」と期待を膨らませていた。
釜山市内を散策した3人は、15:30(現地・日本同時間帯)から東西大学校centum campusコンベンションホールで行われた記者会見に参加。100人を超える海外メディアの質疑応答に答えた。そこで新海監督は、「2011年に日本を襲った地震は、私に大きな影響を与えました。その時に日本人が想った願いや祈りの結晶をこの作品に込めました」と語り、さらに待望の次回作についての質問に対しては、「今は白紙だが、多くの人を楽しませるエンターテインメント映画をもう一本つくりたいです。その能力が自分にあるのか、確かめたい」と回答した。また神木は、「入れ替わった時に、瀧を可愛いと思ってくれるよう演じました」、上白石は「三葉はとても普通の女の子。親近感を持ち、自分と重ね合わせて声を吹き込みました」と、それぞれの役に対する想いを語った。
そして17:40(現地・日本同時間帯)からは野外舞台挨拶を実施。映画祭開催中に台風18号が釜山を直撃し、恒例の海雲台ビーチの特設ステージが高波によってすべて破壊されたが、そのような状況の中でも映画祭スタッフ、釜山市民の手により1日にして特設ステージを設置しての挨拶となった。現地でも注目が高まっている『君の名は。』の舞台挨拶ということで、会場には20代の男女を中心に熱狂的な新海誠ファンやアニメーション映画ファンなど600人以上が集まり、退場時には詰めかけたファンに取り囲まれ、握手を求められるなど熱烈な歓迎を受けた。
野外舞台挨拶時、檀上でのあいさつ
【新海監督】
みなさん、寒くないですか?? 来ていただいてありがとうございます! 『君の名は。』は、入れ替わりから始まるコメディの話ではありますが、観終わった時にはきっと予想もしなかった場所に観客を連れて行ってくれる作品が出来たと思います。
【神木隆之介】
ヨロブン アニョハセヨ。チョヌン、『ノエ、イルムンエソ』瀧(たき) ヨグル マットゥン 神木龍之介 イムニダ! マンナソ パンガッスムニダ。(皆さん、こんばんは。『君の名は。』で瀧を演じた神木龍之介です! 今日はお会いできて光栄です)。
【上白石萌音】
ヨロブン アニョハセヨ。チョヌン、『ノエ、イルムンエソ』三葉(みつは) ヨグル マットゥン 上白石萌音 イムニダ。プサン ヨンファジェ チェゴ!!! (皆さん、こんばんは。『君の名は。』で三葉を演じた上白石萌音です。今日はお会いできて光栄です。釜山映画祭、最高!!!)
公式上映会場となったのは、2011年に開館した映画祭専用の劇場「映画の殿堂(ドゥレラウム)」内にある「ハヌルヨン劇場(Haneulyeon Theater)」。20:00(現地・日本同時間帯)から行われた公式舞台挨拶では、300席の当日券を求めて前日の夜から徹夜組が出るほどの大人気ぶり。当日もわずか4分で全席完売するなど、現地での期待値の高さが伺えた。10~20代を中心に幅広い層のファンなど約900人が劇場に詰めかけ、場内満席の大盛況の中舞台挨拶に登場した新海、神木、上白石は、大きな歓声と歓迎の拍手で迎えられた。神木と上白石が流暢な韓国語で挨拶をすると、会場のお客さんから大きな歓声が。新海監督は、「このチケットを取るのに多くの方が並び、さらに入れなかった方も沢山いると聞きました。是非1月の公開を楽しみに待っていてください」と来られなかったファンにも呼びかけた。上映中は、主人公の瀧と三葉が入れ替わるコミカルな前半のシーンでは何度も笑い声が会場内に響き渡り。美しい色彩と繊細な風景描写のシーンで思わず息をのむなど、"新海ワールド"に酔いしれる観客。3人も客席後方で、来場者と一緒に本作を鑑賞し、映画祭を十分楽しんだ。
釜山国際映画祭を終えたコメント
【新海監督】
韓国という国には、とても親近感を感じます。歩いていても安心ですし、食べ物もとても美味しいです。また、韓国では、映画に対する期待がすごく大きいということを実感しました。釜山国際映画祭が映画をとても大事にしていて、さらにそれを強くサポートする場なのだと感じられました。その点、『君の名は。』をとても深く理解してくれているのではないかと思いますが、その反面、それでも文化は違うので、分かってもらえないのではないかという不安もあります。ただ、ヨーロッパやアメリカに比べると、アジアの方が日本と文化面で共有する部分が多いので、大きく受け入れてもらえることを期待しています。
【神木隆之介】
韓国の方は、楽しいと声に出して素直に喜んでくれるのが嬉しいです。思っていることを表現してくれるから、本当に楽しみにしてくれているんだということが分かりました。
【上白石萌音】
韓国の人は熱い!日本にはないノリを感じます!海外に来ているということをとても実感できます。
【現地配給担当 カン・サンウック プロデューサ・理事のコメント】
日本での大ヒットを受けて、韓国では大きな変化がありました。日本でのメガヒットのニュースを聞いて、「もしかすると、過去ジブリアニメが韓国で大ヒットしたような現象が今回起きるかもしれない」と思うようになりました。メガヒットのニュースを聞いた韓国の映画ファンたちの、とても期待しているという書き込みが、ネット上でかなり増えました。それから最も良いことは、映画館の方からより高い期待をいただけていて、直接、公開に関する問い合わせの連絡が殺到しています。
『君の名は。』の韓国公開は、2017年1月を予定。邦画アニメーションの中では最大級の公開規模となる300スクリーン以上での公開が決定しているという。既に89の国と地域での世界配給が決定している本作だが、台湾では10月21日、香港では11月17日、イギリスでは11月24日にそれぞれ公開が決定している。
『君の名は。』は、全国東宝系にて公開中。
(C)2016「君の名は。」製作委員会