シャープはこのほど、プラズマクラスター技術に結核感染リスクを低減させる効果があるという研究結果を発表した。

臨床研究専用イオン発生装置

結核は、結核菌という細菌によって引き起こされる病気。「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれ、初期症状が通常の風邪とよく似ているため区別がしにくいと言われている。

WHO(世界保健機関)の統計によると、世界で年間約150万人が結核で死亡しているという。2014年には日本でも約2万人が新たに発病しており、毎年2,000人ほどが死亡している。日本は結核の「中まん延国」と認定を受けているが、高まん延国からの渡航者などにより感染につながる可能性も高いとのこと。

「プラズマクラスター」は、同社が開発した独自の空気浄化技術。プラスイオンとマイナスイオンを同時に空中へ放出し、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどに作用し、その働きを抑制する働きがあるという。臨床試験でも小児アトピー型喘息患者の気道炎症レベル低減や、ヒトへのインフルエンザウイルス感染率低減の傾向が実証されている。

プラズマクラスターの空気浄化(ウイルス・菌除去)の原理

同社は、ジョージア国立結核病院と共同研究を実施。その結果、プラズマクラスター技術を利用した臨床研究専用イオン発生装置を使うと、医療従事者が結核に感染するリスクや、患者が再び結核にかかる危険性が低くなることが明らかとなった。

9月8日に行われたプラズマクラスター技術の発表会には、ジョージア国立結核病院のZaZa Avaliani(ザザ・アヴァリアニ)院長も登場。「結核は空気感染のみが感染ルート。これは基本認識として身につけていただきたい重要なことです」と注意を呼びかけた。

また、今回の研究結果について、「プラズマクラスター技術は世界レベルで共有すべき技術。非常に効果が高い。個人的には将来的に医療現場だけでなく、幼稚園、ショッピングセンター、学校などに導入していけるのではないかと思う」と見解を述べた。