スカイマークは10月1日よりネスレ日本を新たなビジネスパートナーとして迎え、両社共同で「また乗りたくなる空の旅プロジェクト」を開始。機内でネスカフェとキットカットを無料提供するほか、スカイマークを舞台としたショートフィルムを映画監督・本広克行氏が総監督となって制作するなど、"ブランド体験"をうながすサービスを展開する。
あえて「ネスカフェ」を前面に出した一杯
「また乗りたくなる空の旅プロジェクト」は、スカイマークの"お客さまから愛される航空会社"を目指した取り組みのひとつで、10月1日からの展開を第一弾として、今後ネスレとともに継続的に実施していく。プロジェクトの構想は、公私共に付き合いが深いと話すスカイマーク代表取締役会長の佐山展生氏とネスレ日本代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏の間で、2016年の年頭より始まったとのこと。
スカイマークでは現在、コーヒーも含めたドリンクを有料提供しているが、10月1日からはネスカフェとスカイマーク限定デザインのキットカットを搭乗者全員に無料提供する。このサービスは、同社が運用しているB737-800の全177座席の乗客に限られた時間内で十分サービスができるかも含め、まずは飛行時間が長い路線から導入(羽田=那覇線、福岡=新千歳線、茨城=那覇線、中部=那覇線、神戸=那覇線)。今後、提供路線を拡大していくとしている。
また同時に、ネスカフェ最上級クラスの「ネスカフェ フラジール」を全路線を対象に1杯税込100円で販売する。フラジールは「ネスレ通販オンラインショップ」でのみ販売している限定コーヒーで、コーヒー職人が厳選豆を使用し、通常の約3倍もの時間をかけて実現したネスカフェの自信作。そのフラジールを100円で提供することに対し、高岡氏は「ほぼ原価で提供しているようなもの」と話す。
ネスレは以前にも、業務用としてネスカフェをさまざまな航空会社を通じて機内で提供することはあったが、一部の海外航空会社のファーストクラスを除き、「ネスカフェ」というブランド名を出して機内で提供するのは初めての試みとなる。
「スカイマークもネスレも、自分たちでしかできない"ブランド体験"を目指してプロジェクトを構想しました。キットカットとともに『ネスカフェ』と前面に押し出してコーヒーを提供することで、今までにない"ブランド体験"をうながすことができるでしょう。また今回、無料提供をするということ自体も、ひとつのサプライズになりえるものだと考えています」(高岡氏)。
子どものひとり旅を特別なものに
また11月上旬からは羽田=神戸線限定で、子どものひとり旅向けサービス「スカイキッズ」利用者に、キットカットのパッケージに好きな写真を印刷できる「チョコラボ キットカット」を用いたサービスを開始する。このサービスは、出発空港で写真撮影してから搭乗すると、その写真がパッケージに印刷されたキットカットが到着空港でもらえるというものだ。
佐山氏は、「核家族化が進んでいる今、例えばおじいちゃんやおばあちゃんなど離れたところに住む家族にも、子どもが安心して気軽に会いに行けるサポートをスカイマークもできればと思っています」とコメントしており、今回、確実にできる路線として羽田=神戸線を選んだと言う。今後は実施状況を見て、導入路線の拡大を検討していく。
本広総監督「せめぎ合いが楽しい」
また、ネスレは2013年11月より、映画監督が制作したオリジナル作品をYouTube上で公開する「ネスレシアター」を実施しており、そのひとつとして『踊る大捜査線』シリーズを手がけた映画監督・本広克行氏が総監督となったショートフィルム『踊る大空港、 或いは私は如何にして 踊るのを止めてゲームの ルールを変えるに至ったか。』を11月上旬より公開する。
同作品はシリーズ累計で500万視聴と好評だった『踊る大宣伝会議(略)』の続編で、スカイマークを舞台に全30話の制作を予定している。『踊る大空港(略)』の総制作費は3,000~5,000万円を想定しており、この制作費はネスレが全額担う。
作品は、新生スカイマークとしての新しい企業理念や新サービスをテーマとし、航空業界の舞台裏を描く。さまざまな困難に見舞われながらも奮闘し、より快適なフライトの提供を目指す客室乗務員や空港スタッフなど、スカイマークで働く人々を中心にした物語を展開していく。同シリーズには前作に引き続き、中村雅俊さんが出演。そのほか、馬場徹さん、森岡龍さん、北香那さん瑛蓮さん、片桐仁さん、小橋めぐみさん、桜井美南さん等が出演する。
総監督の本広氏は、「面白いことや笑えることは、不謹慎だったりするもの。そのせめぎ合いが楽しい。『踊る大捜査線』シリーズは業界の裏側を描いたもので、今回も航空業界の裏側に迫ります。制作の中で発見することも多く、こうした機会をくださった高岡さんに感謝をしています。TVドラマでは作れない作品になると思います」とコメントしている。
「足のばシート」で『踊る大空港』も堪能
スカイマークは10月1日より、+1,000円で利用できる機内最前列席「足のばシート」の6席を対象に、ネスレ制作のショートフィルムなどエンタメコンテンツが楽しめるタブレットの貸し出しを開始する。足のばシートは通常の座席より19~38cm足元が広い座席で、優先搭乗や預け荷物の目印タグの取り付けなどのサービスもセットになっている。なお、エンタメコンテンツには11月上旬より、『踊る大空港(略)』も加わる予定となっている。
スカイマークは2016年度、過去5年間で最高水準の搭乗率で推移している。現在の状況に関して佐山氏は、「スカイマークは安全・安心・快適・身近をモットーに展開しています。安全であることは当たり前ですが、特に2016年2月以降、搭乗率は80%以上となっており、8月などは88.8%と業界トップクラスの数字となっています。これは定時制の向上のおかげで、ビジネス利用者も増えています」とコメントしている。
ネスレとのプロジェクトは、「スカイマークとしては、できれば永久的にやっていきたい」(佐山氏)と話しており、ネスレとしても「キットカット」に続く「ネスカフェ」のブランディングの場として、互いのサービスを補完する「ほかにない"ブランディング体験"」を目指す。今後の展開に関しては、「今回はあくまでも第1弾であって、すでにいろんな構想をしている」(佐山氏)とのこと。今後、どのような"ブランド体験"が空の上で楽しめるのか期待したい。