女性ホルモンの話になると出てくるキーワード・イソフラボン。大豆食品などに多く含まれていることもあり、「私は豆乳を飲んでいるから大丈夫」といった声も聞かれるが、果たして本当に豆乳で女性ホルモン増加の効果は得られているのだろうか。本稿では「食事と女性ホルモンの関係」について掘り下げていこう。

食事と女性ホルモンの関係とは

「女性ホルモンと似た働き」をするエクオール

管理栄養士の板橋里麻さんに食事と女性ホルモンの関係について聞いたところ、「女性がホルモンバランスを整えたいときのイソフラボン摂取は確かにおすすめです。ただ、それだけでは足りません。亜鉛と鉄分といったミネラルを摂(と)ることも心掛けてください」との回答があった。

そもそも、女性ホルモンの話題になるとイソフラボンが注目される理由は、イソフラボンを体内に取り入れると「エクオール」という成分となるため。このエクオールが女性ホルモンと似た働きをするため、注目を浴びていると考えられる。

成人女性のイソフラボン摂取量の目安は1日70~75mgで、代表的な大豆食品のイソフラボン含有量は下記の通り。

■豆腐1丁(300g): 約80mg
■納豆1パック(約45g): 約35mg
■豆乳200ml: 約20~40mg

この計算どおり考えると、豆腐なら1丁(約210kcal)、納豆なら2パック(約200kcal)、無調整豆乳なら2~3杯程度(100~150kcal)が1日の摂取量の目安となる。「摂れば摂るだけ効果があるのでは? 」と思うかもしれないが、大豆食品にもカロリーがあり、脂肪分もそれなりに含むため適量の摂取がよいだろう。

「イソフラボン効果」の決め手は腸内環境

気をつけたいのは、せっかくイソフラボンを摂取しても腸内環境が整わないと、それをエクオールに変える力が発揮されない点。つまり、「女性ホルモンに似た働き」が得られないというわけ。腸内環境を整えるには発酵食品が役立つため、同じ大豆食品を食べるにしても、豆乳や豆腐より納豆のほうがおすすめ。添加物や人工甘味料などはその力を低下させるため、要注意だ。

エクオールが女性ホルモンと似た働きをするのに対し、女性ホルモンを「作り出す」「増やす」力をサポートするのが亜鉛。そして、体内に取り入れた亜鉛などのミネラルを全身へ運ぶ助けとなるのが鉄分だ。月経で定期的に血液を失う女性は鉄分不足になりがちなので、意識して摂ることが大切と覚えておこう。

亜鉛を多く含む食材

カキ、貝類、牛肉、赤身の魚

鉄分を多く含む食材

レバー、赤身の肉、赤身の魚、ほうれん草、ひじき

また、女性ホルモンのバランスを整えるには、自律神経を整えることも不可欠。もし、ストレスフルな生活を送っているのなら、このような食材を食事に取り入れるだけでなく、リラックスする時間を持つように。

納豆+発酵食品で効率的に女性ホルモン作用を

では、これらの食材を用いて簡単に作れる一品を紹介しよう。イソフラボンが豊富な納豆に、腸内環境を整える働きのある発酵食品のキムチとチーズを加えたレシピだ。イソフラボンをエクオールに変える力を後押しするメニューだが、作り方は材料を切ってあえ、のりに巻くだけと超簡単!

「納豆キムチーズあえ 韓国海苔&青じそ巻き」はマグロにのせて食べてもグッド

材料

納豆 1パック / キムチ 40g / おくら 3本 / チーズ 30g / しょうゆ 小さじ1/2 / 韓国のり 適量 / 青じそ 適量

つくり方

1.納豆は混ぜてねばりを出しておく。キムチはみじん切り、おくらはゆでて輪切りにし、チーズは5mm程度の角切りにしておく。

2.1としょうゆを混ぜ合わせ、韓国のりと青じそを巻いて完成。

亜鉛や鉄分を多く含むマグロにのせていただくのもおすすめ。冷ややっこにのせておつまみにしたり、ご飯のお供にしたりと万能な一品、ぜひとも試してほしい。

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