三菱総合研究所はこのほど、関西地域のインバウンド観光の実態に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2月~3月、鉄道各社等6社(西日本旅客鉄道、近畿日本鉄道、阪急阪神ホールディングス、南海電気鉄道、京阪ホールディングス、新関西国際空港)の協力のもと、関西国際空港を出国する訪日外国人旅行者2,000名を対象に聞き取り調査にて行われた。

「日本・関西への訪問回数」

調査によると、2015年度の訪日外国人旅行者数は2,136万人となり、前年度対比146%と急増。特に関西国際空港の外国人旅客数は1,100万人(前年度対比157%)に達しているという。

そこで、関西地域への旅行経験について尋ねたところ、全体の50%が初めての来日であり、66%が初めての関西訪問であることがわかった。主要9カ国・地域別(中国・韓国・台湾・香港・欧州・米国・ASEAN(除タイ)・タイ・豪州)で見ると、台湾・香港客はリピーターが多く、70%が2度目以上の来日。また、半数は関西への訪問も2度目以上となっている。

関西圏観光地、訪問率№1は「難波」

「調査分析対象エリア・観光地」

続いて、関西圏の観光地・エリアについて訪日外国人旅行者の訪問状況などを聴取し、分析を行った。

「観光地・エリア別事前認知率・訪問率・再訪意向率」

その結果、訪問率が最も高かったのは「難波」で75%。また、再訪意向を示した人も54%と高い割合を示し、「難波」がターミナルとしての拠点性の高さに加えて、訪日外国人旅行者にとって満足度の高いエリアであることがわかった。

難波と同じく再訪意向が高かったのは「USJ」。事前認知に対して訪問率が相対的に低くなってはいるものの、実際に訪問した人の満足度は高いよう。また、「嵐山」「貴船神社・鞍馬寺」といった観光地についても、実際の訪問率は低いが再訪意向が高いことから、これからの来訪者の伸びが期待されるエリアであることがうかがえた。

一方、再訪意向がやや低かった「大阪城」「清水寺」「金閣寺」といった観光地については、初めて関西を訪れた層にとって入門的な観光地になっている可能性があることがわかった。

関西圏における総流動量、9,658万トリップ

「観光地・エリア別の訪問者数推計値」

次に、関西圏の主要観光地・エリアの2015年時点での訪問者数の推計を行ったところ、大阪では難波・心斎橋エリアには年間588万人、梅田・大阪駅エリアには年間497万人が来訪。京都では東山に年間392万人が来訪していることがわかった。

「観光地・エリア別の訪問者数推計値」

また、同様に2015年時点での関西圏における訪日外国人旅行者の流動量(移動の延べ回数)についても推計した結果、総流動量は9,658万トリップ、大阪府内だけで5,329万トリップにのぼり、府県間移動では大阪-京都間が最も多く1,274万トリップ(延べ1,274万人が大阪-京都間を行き来している)と推計された。