――次の月9ドラマ『好きな人がいること』も、昨年7月クールで若者の強い支持を受けた『恋仲』チームの制作陣で、まさに若い人を狙っていますよね。世帯視聴率は9~10%台でしたが、今回そのチームでもう一度チャレンジするというのは、まさにその決意の表れということでしょうか。

僕は世代別のマーケティングというのはあまり好きではなくて、年配でも気持ちが若い人っているじゃないですか。僕なんか47歳ですけど、精神年齢はだいぶ若いと思っていて(笑)、何歳だからということではなく、若い人には刺さりたいんだけど、年配の方にもちゃんと響いてくださる方がいると信じて、こういうコンテンツはやっていきたいと思っています。

――そのドラマですが、4月クールは正直苦戦という結果だったと思います。

月9・木10・日9それぞれの枠(※)で思いを持ってやっているんですけど、今は視聴者の皆さんに、テレビの前に座って見てもらうには、ものすごく刺激的だったり、飛び道具があったり、何だこれ!?という違和感だったり、作品性というより企画性が高いもの、つまり見る前の話題性がすごく大事になってきていると思っています。フジテレビのドラマは、決して他局に比べてクオリティが劣っているとは思わないのですが、最初に見てもらうための入口を、もっともっと僕ら編成がうまく打ち出す必要があるのかなと思っています。

(※)火10は関西テレビ制作、「オトナの土ドラ」は東海テレビ制作

――そこを踏まえて、7月クールのドラマへの期待はいかがですか?

今、テレビよりもネットの方が生活者の皆さんに近いという危機感を持っています。そこでテレビがあらためて視聴者の皆さんと距離を縮めるには、どれくらいリアリティがあって、共感してもらえるかということがポイントになると思うんです。

そういう意味では、月9の等身大の若者たちの恋愛模様。木10『営業部長 吉良奈津子』で松嶋菜々子さんが演じる子育てと仕事の両立という世の中の女性たちが多く体験するようなストーリー。日9『HOPE~期待ゼロの新入社員~』も、Hey! Say! JUMPの中島裕翔さん演じる自信のない青年が、ひたむきに仕事に向き合いながら会社の中で自分のポジションを作っていくという作品で、今の若い人たちが自分を投影してもらえる部分がたくさんあると思うんです。その共感という部分はすごく意識して作品を並べているつもりですし、期待したいと思いますね。

『好きな人がいること』(7月11日スタート、毎週月曜21:00~21:54)
桐谷美玲演じる恋愛下手な主人公・櫻井美咲と、山崎賢人・三浦翔平・野村周平演じる柴崎三兄弟の経営する海辺のレストランで繰り広げるラブコメディ。

『営業部長 吉良奈津子』(7月21日スタート、毎週木曜22:00~22:54)
3年の育児休暇をへて職場復帰した吉良奈津子(松嶋菜々子)が、職場の人間関係や嫁姑ベビーシッター問題を抱えながら“仕事と家庭”を両立させるために奮闘する姿を描く。

『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(7月17日スタート、毎週日曜21:00~21:54)
Hey! Say! JUMPの中島裕翔演じる主人公・一ノ瀬歩が、社会経験も学歴もない中、会社で認められるよう、ひたむきに仕事に向き合う姿を描くストーリー。(写真は上司役の遠藤憲一)

――フジテレビさんの改編といえば、毎回長寿番組の『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』の存続云々が騒がれますが…。

ことあるごとに面白くネット上を騒がせたりしていますが、誰も言っていないことが勝手にニュースに踊るのが不思議ですけどね(笑)。まことしやかに終了することになっていたことは、大変心外です。もちろん以前に比べて視聴率はとりづらいし、苦労している部分はたくさんありますけど、フジテレビの新卒採用の面接官をやっていると、やっぱり『とんねるず』『めちゃイケ』って圧倒的な人気なんですよ。逆に言うと、そういう番組が今すごく少ないんですよね。

――"そういう番組"とは?

今の時代、生活に役立つとか、情報性があるようなバラエティが全盛だと思うのですが、いわゆる王道のエンタテインメントというものに関しては、僕らが灯を絶やすわけにはいかないんです。世帯視聴率のことだけを考えると、やっぱり灯が絶やされがちなんですよ。でも、僕らフジテレビが辛抱して、新しい笑い・新しいバラエティの王道を続けていけば、まためぐりめぐってお客さんも戻ってくると信じています。そのためには、ずっと同じことをやっていてはいけないと思うので、その辺の努力が足りないとか、最近つまらなくなったという意見があれば、ものすごく真摯に受け止めたいと思います。

――昨今隔週2本撮りのバラエティがほとんどの中で、『とんねるず』も『めちゃイケ』も、それから『SMAP×SMAP』も、収録日を週2回もとっていますよね。

テレビの世界も、コンビニエンスに撮って出していくということが、時代とともに主流になってきている中で、視聴者の目に触れない部分で時間とカロリーをかけて汗をかいている部分は、これみよがしに見せるものではないですが、やっぱりそれだけのことをやって、笑いやエンタテインメントを作っているということは、僕らの誇りではありますよね。

昔、お正月にやっていた『新春かくし芸大会』は、タレントさんと制作者が何カ月も日々汗をかいていたんです。そうやって、コンテンツに手間をかける番組って、年々なくなってきているのですが、やっぱり必要だと思うんですよね。そうしないと制作者も育たないし、業界の未来にもつながっていかないと思うので、すごい重要なポイントだと思います。

もちろん、他局でも汗をかいているなというのは、画面から伝わってくるので、そこはリスペクトします。そうじゃない番組が数字をとってると「くそっ!」って思いますけど(笑)。僕らの番組でそれが伝わっていないとすれば、努力が足りないと思うので、そこは反省すべきポイントだと思いますね。

――他局で言うと、日本テレビさんの好調な『ザ!鉄腕!DASH!!』や『世界の果てまでイッテQ!』は、汗をかいているように見えますよね。

汗かいてると思いますね。純粋にそこはリスペクトしますし、負けてられないなという思いもありますので、僕らは僕らのやり方で違う汗のかき方をして、いつか日曜日の強い牙城を崩したいなと思います。

『とんねるずのみなさんのおかげでした』(毎週木曜21:00~21:54)
とんねるずがメインのバラエティ。前身の『―おかげです』から28年の歴史を持つ。

『めちゃ×2イケてるッ!』(毎週土曜19:57~20:54)
ナインティナイン、加藤浩次、よゐこらが出演するバラエティ番組。10月で放送開始20周年を迎える。

――今年ももうすぐ『FNS27時間テレビ』(7月24日18:30~25日21:24)の季節ですが、以前亀山千広社長が会見で「もう一度しっかり考えるところに来ている」と"見直し"発言をされました。それを踏まえて、やはり今年も放送するという意図は?

"見直し"というのは、やる・やらないという話ではなくて、『27時間テレビ』という考え方・コンセプト・姿勢を考え直すタイミングに来ているということです。今年の27時間テレビは、その趣旨をしっかりと打ち出していきたいと思っています。

――夏といえば、こちらも恒例になりました大型音楽特番の『FNSうたの夏まつり』(7月18日11:45~23:24)も、今年は11時間に大幅にスケールアップしての放送ですね。

夏ですし海の日ですし、視聴者の皆さんに休日を目いっぱい楽しんでいただきたくて大スケールアップしました。これでもか!という超豪華なキャスト、規模感、さまざまな趣向を凝らした演出でお届けするので、ぜひご期待いただきたいと思います。

――あらためて今後の秋改編も見据え、意気込みをお願いします。

偉そうな意味ではなくて、本当にこのまま刹那的な視聴率だけをとりにいくと、テレビの未来は描けないと思っています。ネットの人たちもテレビの話題をしていることが多いので、テレビに関心がないわけでは決してない。だから、僕らはリアルタイムで見たい!と思ってもらえるための番組開発やサービス、工夫を今まで以上に実行しなければならないと思っています。テレビがつまらないと言われればそれは期待の裏返しだと捉え、その期待に応えられるタイムテーブルを作っていきたいと思います。