梅雨入りが発表されてからじめじめした暑い日が続いていますが、梅雨が明ければ夏到来ですね。2016年の夏は猛暑が予想されており、エアコンが長い期間活躍しそうな予感がしますが、そこで気になるのは電気代です。エアコンは我慢しないで使いたいけど、電気代は抑えたいと考えているあなたのために、今回はエアコンの節約・節電術をご紹介します。
簡単! エアコン節電術
■冷房と除湿、どっちがお得?
結論から言うと、「絶対にどちらかが安くなる!」という答えは出せません。その理由はエアコンの種類・温度設定・除湿のモードなどにより消費電力が違ってくるからです。
例えば、除湿の機能には"弱冷房モード"と"再熱モード"の2種類があります。どちらも除湿を目的としたものですが、弱冷房の方は通常の冷房運転とさほど大差はないと言われています。再熱モードは、エアコン内の熱交換器で熱を奪って空気中の水分を水滴として集め室外に出す、という少し複雑な働きをします。こうした理由からも、再熱モードの方で除湿をすると"除湿の方が高い"という結果になる場合もあります。
■"冷房"と"弱冷房モード"ではどっちがお得?
さらに突き詰めて、通常の冷房と、冷房と除湿を兼ねた弱冷房モードではどちらが節電につながるのでしょうか。「一人二役の機能を持つ弱冷房の方が高い!」と思われるかもしれませんが、実は弱冷房の方がお得になる場合が多いことがあります。名前の通り"弱"い冷気で除湿を行うことがその理由です。具体的には、10~15%通常の冷房よりも節電できると言われています。
エアコン節電の“基礎中の基礎"
■待機電力を減らす
エアコン(冷房)を使用する時期は、当然夏ですよね。夏には長期休暇があり、家族連れや学生にとっては旅行・帰省などさまざまなイベントで家を留守にすることも多いと思います。電気代はこの留守中にも、かさんでいっているのです。家にいないとき、特に長期間不在にするときは、エアコンのコンセントを抜いておきましょう。
さらに言えば、リモコンの電池も取っておくことも立派な節電の1つです。エアコンだけでなく、他の電化製品でも実践してみると思わぬ節電効果が期待できるはずです。
■温度調節で節電
温度や風量の設定を少し変更するだけで、冷房にかかる電気代は大幅に変わってきます。一般的に言われているのは、"1度温度を上げるごとに10%の節電効果"が期待できるそうです。使用時間にもよりますが、10%節電という数字は大きいですよね。言うまでもないことかもしれませんが、風量も弱ければ弱いほど、エアコンの負担が少ないので電気代がお得になります。
10%の削減を単純に考えると、月5,000円かかっていた電気代が4,500円になるわけです。年で換算すると、12カ月×500円で6,000円の節電になります。特に家に長くいて、長時間利用する人にはより効果を発揮しますので、この基本は知っておくべきかもしれません。
ただし、エアコンの機種や年式によって下げ幅のパーセンテージは異なりますので、数字に関してはあくまで参考としてみて見てください。"温度を上げると安くなる"というのは、どのエアコンでも共通することです。
冷気を保つ室内環境を整える
■扇風機や除湿器などを併用する
夏場に活躍する電化製品は、エアコンだけではありません。扇風機や除湿器などを冷房とともに活用することで節電につながります。「ちょっと待って! むしろ複数使用した方が電気代は掛かってしまうと思うけど?」と疑問に思われる人もいるかもしれません。
ですが、これらはエアコンよりもかなり電気代が安いのです。エアコンを100%運転させるよりも、例えばエアコンの設定温度・風量を弱めて、"エアコン70%:扇風機30%"という割合で利用した方が節電になります。それだけ扇風機の電気代が安いということですね。
また、過ごしにくい室内の暑さの原因は、湿気も大きく関係しています。冷房機能、または除湿機能で湿気を除くこともできますが、ここも扇風機と同じで電気代の安い除湿器と併用した方が結果、お得になる場合が多くなります。
一方向からのみ働きかけるのではなく、併用によって双方向から空気を循環させることになりますので、効率よく冷気を送る・保つ相乗効果が期待できます。
■見落としがち! "外気"に関する対策
これももっとも基本的な節電方法の1つです。まずは、外気を室内に入れない工夫をしましょう。窓を閉めてからエアコンをつける、部屋を隔てるためドアは閉める・または開けっ放しにしない、などの基本的なことが大切です。
また外気に関する対策として意外と見落とされがちなのが、"室外機"です。室外機はそれ自体が熱を保ってしまうと、熱を排出する機能が弱まってしまいます。私自身、運転中の室外機に触ったことがありますが、目玉焼きができそうなくらい熱かったことを覚えています。100円ショップに売っているようなアルミシートや、庇(ひさし)などを使って日よけ対策ができるので、ぜひ実践してみしてください。
佐藤洋平
電力情報メディア「energy navi」編集長。2015年株式会社セグメント入社。前職の商社系通信事業者にて、集合住宅向け高圧一括受電サービスの立上げ・MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)の開発に携わり、全国100 棟以上の導入を経験。電力の小売全面自由化を機に、全ての需要家が「最適な電気料金プラン」を選択できるよう電力情報メディア「energy-navi」を立ち上げる。