厚生労働省は6月24日、平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。
同省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回取りまとめている。
脳・心臓疾患の労災認定は251件
脳・心臓疾患に関する労災補償では、請求件数が795件で、前年度比32件の増となった。支給決定件数は251件で前年度比26件の減となり、うち死亡件数も前年度比25件減の96件だった。
業種別では、請求件数は「運輸業、郵便業」(181件) 、「卸売業、小売業」(116件)、「建設業」(111件)の順、支給決定件数は「運輸業、郵便業」(96件)、「卸売業,小売業」(35件)、「製造業」(34件)の順に多い。職種別では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」(161件)、「専門的・技術的職業従事者」(118件)、「販売従事者」(95件)の順、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」(88件)、「販売従事者」(34件)、 「専門的・技術的職業従事者」(33件)の順に多かった。
年齢別では、請求件数は「50~59歳」(263件)、「60歳以上」(233件)、「40~49歳」(198件)の順、支給決定件数は「50~59歳」(91件)、「40~49歳」(80件)、「60歳以上」(38件)の順に多い。1カ月平均の時間外労働時間数別支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」105件で最も多く、「100時間以上」の合計件数は120件だった。
精神障害の労災認定は472件
精神障害に関する労災補償では、請求件数が1,515件で、前年度比59件の増となり過去最多。うち未遂を含む自殺件数は前年度比14件減の199件だった。支給決定件数は472件で前年度比25件の減となり、うち未遂を含む自殺の件数も前年度比6件減の93件だった。
業種別では、請求件数は「製造業」(262件)、「医療、福祉」(254件)、「卸売業、小売業」(223件)の順、支給決定件数は「製造業」(71件)、「卸売業、小売業」(65件)、「運輸業、郵便業」(57件)の順に多い。職種別では、請求件数は「事務従事者」(362件)、「専門的・技術的職業従事者」(325件)、「サービス職業従事者」(183件)の順、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」(114件)、「事務従事者」(93件)、「サービス職業従事者」(53件)の順に多かった。
年齢別では、請求件数は「40~49歳」(459件)、「30~39歳」(419件)、「50~59歳」(287件)、支給決定件数は「40~49歳」(147件)、「30~39歳」(137件)、「20~29歳」(87件)の順に多い。1カ月平均の時間外労働時間数別支給決定件数は、「20時間未満」(86件)で最も多く、「80時間以上~100時間未満」(20件)、「100時間以上」の合計件数は172件だった。
出来事別の支給決定件数は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(75件)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(60件)の順に多い。