舞浜エリア初の1,000室を超える大型ホテルとして、2015年4月に増築計画を明かしたシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)は2016年6月8日、その新客室棟「PARK WING」の全貌を発表。愛犬と宿泊できる専門フロアを設けることで、従来の主流客層である「ディズニー来園者のファミリー層」だけに頼らない、新たなマーケットの開拓を狙う。

新客室棟「PARK WING」のエントランスイメージ

パーク周辺でホテル開発ラッシュ

2015年発表時には「ANNEX棟プロジェクト」と呼ばれていたPARK WINGの増築開業は当初、2017年2月を目指していたが、年末の繁忙期の需要に間に合わせるべく、4カ月前倒しした2016年12月開業を予定している。正式な開業日は6月末までに発表される見通しで、7月中旬以降に予約を開始する。

この開業の前倒しには、同ホテルを含む東京ディズニーリゾート周辺地域ホテルにおける新設・増設ラッシュも関係しているだろう。2016年6月にはディズニーホテル「東京ディズニーセレブレーションホテル」が開業、今秋には全館開業となる。また、パートナーホテルである「ホテル エミオン 東京ベイ」は2018年春に204室の新館を開業する。その中でもオフィシャルホテルであるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは、PARK WINGに175室を設けることで、周辺地域ホテルにおいて最大客室となる1,016室を備えることとなる。

総支配人である長田明氏。「8年前に比べて宿泊日数の平均が1.2泊から1.4泊に伸びたのは、訪日外国人の増加以外の理由もあります」とコメントした

シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルの総支配人である長田明氏は、「ディズニーホテル、オフィシャルホテル、パートナーホテル、舞浜・新舞浜エリア新ホテルをあわせると、17ホテル・9,383室(2018年春開業・増築ホテルを含む)となり、そう遠くない内に1万室を超えてくるでしょう。パーク全体が活性化されるという意味で、ホテルにとってもオリエンタルランドにとってもいい傾向と言えます」とコメントした。

外国人だけじゃない新たな滞在者

同ホテルのメインユーザーはディズニーリゾートを訪れるファミリー層であり、ディズニーリゾートを2日間楽しむ、1泊2日での宿泊者が多いという。東京ディズニーリゾートの来園者は2013年以降、年間3,000万人を超え、さらに2020年度までに2,500億円の新たな投資を実施する。「現在、お客さまの6~7割はディズニーリゾートを目的として宿泊される方であり、今後もその客層が主力であることは変わりません」と長田氏は言う。

その一方で、ホテル利用者の傾向の変化にも着目している。ひとつはインバウンド需要だ。2015年度の訪日外国人観光客数は2,135万9,000人と初めて2,000万人の大台にのり、政府は2020年までの目標を4,000万人に上方修正した。長田氏の感覚としても、同ホテルの外国人利用者は数年前では全体の3~4%に過ぎなかったのが、現在では20%以上にまで高まっているという。特に訪日外国人は3泊以上の長期宿泊を好む傾向があるため、ホテル側は長期滞在をしたくなるような魅力作りが必要になるだろう。

もうひとつは滞在目的の多様化だ。中には、祖父母と一緒の3世代旅行や女子会、また、子育てを終えたような高齢夫婦等、さまざまな客層がホテルを訪れているという。さらに、東京駅からもアクセスしやすいという利点もあり、同ホテルの宿泊者の5割は首都圏在住者が占めている。

「滞在型ホテルを狙うのであれば、ディズニーリゾート来園者に向けたサービスだけでは駄目です。子供向けの設備として『トレジャーズ! アイランド』をすでに設けていますが、例えば孫たちがパークで遊んでいる間、おじいちゃん・おばあちゃんはホテルでゆっくり過ごすというような、大人のための滞在型への要求に応える施設が必要になります」(長田氏)。

PARK WINGの外観イメージ。隣には駐車棟を併設する

そうした滞在型ホテルを目指し、舞浜エリア初の1,000室超の大型ホテルとして2016年12月に開業するPARK WINGは、利用者がそれぞれの感性で楽しめる客室のほか、「家族のパートナーである愛犬と一緒に旅行をしたい」というニーズを受けた客室・サービスを展開する。続いてはそんなPARK WINGのコンセプトを紹介しよう。