歯磨きなどのケア以外でも、歯肉のために積極的に摂取したい栄養素がある。それは、オレンジやレモンといったフルーツなどに多く含まれているビタミンCだ。
「ビタミンCはお肌のためにサプリなどで毎日摂(と)っていらっしゃる方も多いですが、歯肉にもとてもいいものです。ビタミンCは血行の循環をよくしてくれるので、炎症があった歯肉の治癒を促進することが期待できます。また、ビタミンCはコラーゲンを増やしてくれますが、コラーゲンがあれば歯肉の修復がより早くなります」。
歯肉炎対策以外にも使える3DS
手軽にできるホームケア術もいいが、いざというときはやはり医師にきちんとした治療をしてもらう必要がある。
歯肉炎治療は、炎症部分の歯石やプラークを取り除いたうえで、殺菌効果のあるものを入れて炎症を治めていくという方法がスタンダードだ。だが一度改善しても、歯並びの問題などから再発してしまうケースも少なくない。
そのようなケースに有効的な方法として注目されているのが、日本ではまだあまり知られていない「3DS(Dental Drug Delivery System)」だ。
「3DSは、マウスピースを使って薬剤を定着させる方法です。薬剤が浸透する時間を設けることで、口腔内の環境をよくしていくことができます。例えば、唾液量が減ってしまう睡眠中に、マウスピースを入れて寝ていただくことで清浄効果を高められます」。
この専用マウスピースは、歯科医院などで短時間で作成可能。自分の歯に合わせて作るものなので、一度作ってしまえば歯科医院で専用の薬剤を買い足すだけで長く使えるメリットも。
耐久性にも優れ、厚さも自分でオーダー時に調整できる。例えば、いつも歯を食いしばったり、歯ぎしりが強かったりする人の場合、素材をやや厚めにできる。そういったクセがない人の場合、1mm以下のもので対応できるとのこと。
さらには歯肉炎対策だけでなく、薬剤を変えることでホームホワイトニングなど別の用途にも使える。オーラルケアの一環として、1つ作っておくのもよいのではないだろうか。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)
M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。