ウイリス・タワーズワトソンはこのほど、「2015/2016年版グローバル50報酬レポート - アジア太平洋地域の考察」を発表した。それによると、ASEAN新興国における基本給は中国本土を大幅に下回り、中国の労働コスト競争力は低下していることがわかった。

アジア太平洋地域の給与水準比較

大手企業に中国拠点、再考の兆し

中国のすべての職位における基本給は、ASEAN新興国(フィリピン、ベトナム、マレーシア、タイ、インドネシア)の中で最も労働コストが高いインドネシアを50~44%上回っていることが判明。また中国におけるホワイトカラー専門職の初任給(平均年間基本給は約2万1,000米ドル)は、インドネシア(同約1万6,000米ドル)より約30%多かった。

ベトナムとフィリピンの専門職・中間管理職の平均基本給は、中国を大きく下回り、ASEAN諸国で最低。例えば、中国の専門職の平均基本給は、フィリピンおよびベトナムの1.9~2.2倍に上った。

平均基本給の差が最も大きかったのは中間管理職で、中国はインドネシアを44%も上回った。しかし、上級役員・トップマネジメント層では、その差は28%と5%に縮小している。

同社データ・サービス部門アジア太平洋地域リーダーのSambhav Rakyan氏は「ASEAN諸国の給与が中国を下回っていることで競争力が生まれている。中国は高齢化と労働人口縮小で、給与の高止まりが予想されるため、大手企業では従来中国を拠点として行ってきた業務を再考する兆しが見られている」と話している。