NGその3 分配金目当てに投資信託を買う

分配金として毎月お金がもらえるのはうれしいが、分配金目当てに投資信託を購入しプラスのリターンがあるたびに受け取ることは適切ではないという。なぜなら、分配金受取の際には税金を払う必要があり、さらに分配金を受け取ってしまうと複利で運用できず損するからだ。

「そもそも運用に分配金へのニーズを求めること、分配金にこだわって投資すること自体が適切ではない。手数料が高く、ハイリスク、かつ複雑で見えにくい商品が分配金を売り物に販売されているため、そういった商品に引っかかりやすくなる」(山崎氏)

NGその4 NISAやDCでバランスファンドを買う

NISA、確定拠出年金(DC)は、通常ならかかる税金が非課税という特徴がある。その枠では「期待する収益が高いもの」を買うことが賢い選択だという。

「NISAではTOPIX連動ETF、確定拠出年金では外国株式インデックスファンドを考えることが正解への近道だ。その2つで足りない分を、一般口座で運用する形で設計するのが最良となる」(山崎氏)

資産運用では、「NISAにはこの商品」「確定拠出年金ではあの商品」というように、適切な口座・運用会社、商品に資産を割り当て、全体の合計を最適化することが重要になる。

「個人の場合、長期資金となる『無リスク資産』には、個人向け国債(変動・10年型)が圧倒的に金利が良い。銀行よりも安全で、金利の上昇リスクに強く、変動金利の下限が0.05%なので利回りの面でもプラスの商品といえる。『リスク資産』としては、国内株式インデックスファンド、外国株式インデックスファンドで、自分の気に入った手数料の安いものを選ぶと良いだろう」(山崎氏)

NGその5 手数料が高い投資信託を買う

運用商品評価の基本原理として、リターンに確実な差を生み出すのは「手数料」の部分だという。

「まずは手数料で評価すること。同一カテゴリーの商品より手数料が高いものはそれだけでNGだ。運用業界では『アクティブ運用の平均はインデックス運用には勝てない』『運用成績の良いアクティブ運用を事前に選び出すことはできない』という真実がある。その2つの強固な事実を論理的に考えると、手数料の安いインデックス運用が最も合理的という結果になる」(山崎氏)

NGその6 対面営業証券会社のラップ口座で投資信託を買う

「ラップ口座」とは、資産の運用管理をひとまとめにして証券会社や銀行に任せる仕組みだ。特徴は、商品の売買をするたびに手数料がかかるのではなく、手数料をあらかじめ決めておくというところにある。

「ラップ口座を利用する場合、どのくらいの大きさのリスクを取り、いくら投じるのが適切かを判断しなくてはならない。しかし、それがわかっている人はそもそもラップ口座は必要なく、リスクがわからない人はそれにお金を投じるのは不適切である。どちらを考えてもラップ口座は不要といえる」(山崎氏)

NGその7 投資家のタイプで投資信託を選ぶ

例えば「40歳のこのタイプの投資家にはこういった運用商品が向いている」という選び方は売り手側の作り話だと山崎氏は語る。

「投資家のタイプにかかわらず、運用の目的は『お金を増やすことだけ』である。運用の目的としてよく言われる『老後の不安』『インフレのリスク』に関しても、インフレ以上にもうかっても困ることはない。要はそのときにとることができる適切なリスクで最も効率よく運用し、稼げるだけ稼ぐのが良い」(山崎氏)

山崎氏が指摘するとおり、「老後に備えたい」「家を買いたい」「子供の学費が必要」など、資産運用を行う理由はさまざまだが、その目的をとことん突き詰めると最終的には「お金を増やしたい」という答えにたどり着く。

それは、お金が「使いみちの自由」を持つものだからだ。山崎氏が語るように、老後、学費、病気の備え、住宅、寄附など、後から必要なときに自由に使うことができるメリットは、なににもまさるものである。

終わりに

以前にマイナビニュースで「お金を増やす上でやってはいけないこと」と題し、山崎氏にお話を伺ったときも感じたが、資産運用は実はそれほど難しいことではない。老若男女問わず、自分が取ることができるリスクに応じて投資額や無リスク資産・リスク資産のバランスを決めるだけで良いのだ。

「資産運用は難しそう」と足踏みしている人、なかなかうまく運用できないという人は、山崎氏が指摘する7つの間違いを参考に、投資信託について考えてみてはいかがだろうか。