国土交通省は14日夜に発生した「平成28年(2016年)熊本地震」の災害情報にて、九州新幹線をはじめとする鉄道の被害状況を明らかにしている。九州新幹線では回送列車1編成が脱線したほか、新玉名~新八代間での施設被害も報告された。

熊本駅新幹線口(西口)。熊本地震で駅施設が一部損傷する被害を受けた(写真は2015年撮影)

熊本地震の発生を受け、九州新幹線は15日も博多~鹿児島中央間の全区間で終日運転見合わせとなった。国交省の災害情報によれば、熊本駅から熊本車両基地へ向かう途中、本線上で全軸脱線した回送列車1編成(6両編成)を除き、営業列車の脱線はなかったとのこと。駅間で停車した列車が3列車あったものの、「15日1:17までに救済完了(乗客58人救済済み、30人救済済み、約250人救済済み)」とされている。

回送列車の脱線については、運輸安全委員会が事故調査官3名を派遣し、調査を実施している。九州新幹線ではその他、新玉名~熊本間で「防音壁落下」「固定ボルト浮き上がり」、熊本駅で「防風スクリーンガラス、可動式ホーム柵、エスカレーターの一部損傷」、脱線が発生した熊本~新八代間で「スラブ軌道損傷」「締結ボルト折損」「防音壁ずれ」が報告された。山陽新幹線の施設被害はなかった。

在来線においても、鹿児島本線小川~有佐間と豊肥本線熊本~平成間の2カ所で軌道沈下が報告された。鹿児島本線は15日夕方までに宇土駅まで運転再開されたが、軌道沈下した区間を含む宇土~八代間は終日運転見合わせに。豊肥本線も軌道沈下した区間を含む熊本~宮地間が終日運転見合わせとなっている。なお、鹿児島本線は博多~熊本間で列車の運転が可能となったことから、運転再開後に同区間を走る臨時列車も設定された。

JR九州の在来線ではその他、肥薩線八代~吉松間も終日運転見合わせに。八代駅で鹿児島本線・肥薩線と接続する肥薩おれんじ鉄道は15日、八代~肥後高田間で線路点検のため、肥後高田駅での折返し運転を行っていたが、18時50分から全線での運転を再開している。人吉駅で肥薩線と接続するくま川鉄道は通常運転に戻った。一方、立野駅で豊肥本線と接続する南阿蘇鉄道は引き続き運転見合わせとなっている。