今やレジャーの定番となった工場見学だが、とりわけ大人に人気なのが、試飲もできるビール工場の見学だ。このたび、サッポロビールと一般財団法人WNI気象文化創造センターは、「サッポロビール千葉工場・黒ラベルツアー」と元南極観測船「SHIRASE5002」の船内見学を両方楽しめるコラボツアーを開始した。実際に南極を旅した船で冒険ロマンに浸った後は、海を眺めながら注ぎたてのビールで1杯……。ゴールデンウィークにそんな1日を過ごしてみるのはいかがだろうか。

元南極観測船「SHIRASE5002」

元南極観測船とビール工場は目と鼻の先

まずは、元南極観測船「SHIRASE5002」を紹介しよう。全長134m、排水量1万1,600tのこの船は現役時代の名称を「南極観測船しらせ」と言い、昭和58年(1983)の就航から2008年7月の退役まで、計25回の南極渡航を経験。うち、昭和基地への接岸回数は24回と、任を終えた日本の南極観測船の中では最高の接岸率を誇る。

退役後、「しらせ」は文部科学省にて解体されることが決定していたが、2009年11月に気象情報会社ウェザーニューズが引き取り、「環境のシンボル」として「SHIRASE5002」をグランドオープン。2013年9月には所有権をWNI気象文化創造センターに移行し、現在の形に至る。

そして、「SHIRASE5002」が係留している船橋港(千葉県船橋市)には、「SHIRASE5002」の目と鼻の先に「サッポロビール千葉工場」もある。「SHIRASE5002」は年5回の「チャレンジングSHIRASE」、「サッポロビール千葉工場」は毎週月曜日と一部休日を除く毎日「黒ラベルツアー」という形でそれぞれの見学ツアーを行っているが、それらを一度に楽しめるのが、今回紹介する「SHIRASE5002ツアー&サッポロビール千葉工場・黒ラベルツアー」(大人1,300円)なのだ。会場へはJR津田沼駅から無料のシャトルバスで30分ほどなので、都内からでも十分に参加可能となっている。

「サッポロビール千葉工場」は「SHIRASE5002」のすぐ近くに位置する

「SHIRASE5002」船内はロマンの塊だ!

ツアーの内容を見てみよう。まず見学するのは、「SHIRASE5002」の船内。船内の展示室では、観測隊OBやボランティアスタッフ手作りのパネルとともに、南極観測に使われる道具や南極で採集された石などの資料を見ることができる。

手作りのパネルとともに、南極観測の道具や資料を見ることができる

また、医務室や調理場、食堂、船員の寝室なども見学可能。中には船員の散髪をする"床屋"まであった。もっとも、男性船員の髪型は丸刈りが多かったそうだ。ほかにも、食堂には「アイスクリームの配給時間」の張り紙があったりと、南極観測船の旅の様子を垣間見ることができて楽しい。

船員の散髪をする"床屋"のスペース

手術もできる医務室には、歯の治療ができるスペースも

船員の寝室もある

食堂と厨房。調理の際の加熱は蒸気と電熱だけで行っていたそうだ

「ブリッジ(艦橋)」の操舵輪(そうだりん)。回したい!

同ツアーでは、船の指揮所である「ブリッジ(艦橋)」の見学もできる。ブリッジは、艦長と副長、観測隊長が指揮を執り、船のかじ取りをするまさに船の中枢部だ。操舵輪(そうだりん)に艦長席、レーダーと、映画に登場するような装備がめじろ押し! 大人も子どももワクワクしてしまうような、記念撮影にももってこいのスポットとなっている。

ちなみに、ブリッジの窓からは「サッポロビール千葉工場」がはっきり見える。WNI気象文化創造センター代表理事で「SHIRASE」艦長でもある宮部二郎氏によると、「チャレンジングSHIRASE」の見学ツアーでも、「ビール工場がすぐ近くにあるので、ここで『ビール飲みたいなぁ』とこぼす大人の見学客も多かった」とのことだ。南極への旅の軌跡に思いをはせて冒険心を高めた後は、ビール工場に冒険に行こう。

艦橋の右舷を見たところ。奥の赤いイスが艦長席だ

左舷の奥には、白いイスの副長席が

レーダーがかっこいい

窓から見えるのは「サッポロビール千葉工場」。ビールに思いをはせる

船と海をバックに注ぎたての生ビールを

「サッポロビール千葉工場」では、「サッポロ生ビール黒ラベル(もしくはソフトドリンク)」の試飲が付いた工場見学「黒ラベルツアー」を楽しめる。

昭和52年(1977)に初めて発売された「黒ラベル」の前身「サッポロびん生」の展示に始まり、ビールの原材料である大麦とホップの紹介、原材料から麦汁を作り出す「仕込槽(しこみそう)」や「仕込釜(しこみがま)」など、生ビールができるまでの過程をブランドコミュニケーターの丁寧でフレンドリーな解説とともに見学できる。ビール醸造の仕組みをしっかり学んでおけば、試飲時のおいしさもひとしおだ。

「サッポロびん生」の展示

ビール原材料の大麦(左)とホップ(右)

「仕込槽(しこみそう)」や「仕込釜(しこみがま)」も間近で見える

黒ラベルツアーは、施設内「コミュニケーションステージ」での試飲でしめくくられる。ここでは、サッポロビールが推奨するビールの注ぎ方「3度注ぎ」のレクチャーも受けられるのでぜひ覚えて帰ろう。勢いよく注ぐ1回目は泡と液体の割合を5:5に、静かに注ぐ2回目は4:6、もっと慎重に注ぐ3回目は3:7にするように注ぐのがポイントだそうだ。なお、詳しい注ぎ方はヱビスツアーのレポートで解説しているので参考にしてほしい。

「3度注ぎ」のコツを覚えて帰ろう

ちなみに、ここで試飲できるビールは2杯。通常は「黒ラベル」2杯を用意しているが、4月30日までは特別に、4月12日発売の数量限定商品「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」と「黒ラベル」を1杯ずつ提供している。この期間限定の飲み比べも、チャンスがあれば楽しみたい。

試飲用の「サッポロ生ビール黒ラベル」。おつまみつきで注ぎたてを楽しめる

4月30日までは、2杯のうち1杯が「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」に

また、「SHIRASE5002」からは「サッポロビール千葉工場」が見えたが、「サッポロビール千葉工場」のコミュニケーションステージからも「SHIRASE5002」が見える。元南極観測船の勇姿を見ながら飲む注ぎたてのビールは、同じ「黒ラベル」でも家で飲む味とはやっぱり違う。間近に迫ったゴールデンウィークのお出掛け先の候補として、検討してみてはいかがだろうか。

コミュニケーションステージからは「SHIRASE5002」が見える。すりガラスの向こうに出ることも可能

なお、「SHIRASE5002ツアー&サッポロビール千葉工場・黒ラベルツアー」の開催日時は、毎週木・日曜日の11:00~13:30および15:00~17:30。各回の最少催行人数は10人で、最大40人まで参加可能となっている。予約は電話かインターネットで可能。参加料金は、大人1,300円・中学生以上600円・小学生以下無料だ。詳細は公式WEBページにて。

※記事中の情報・価格は2016年4月取材時のもの。価格は全て税込