日本最大の金融商品取引所、東証(東京証券取引所)。テレビや新聞等の経済ニュースで、その名前を目にする機会は多い。でも一体何をしているのか、どんなところなのか、正直わからないという人もいるのではないだろうか。そこで今回は、楽天証券が4月4日に開催した「親子で学ぶ投資教室」に参加。中高生やその保護者といっしょに、東証を見学してきた。

「東証Arrows」の「マーケットセンター」

株取引はどのように行われているの?

まず見学したのは、「東証Arrows」の「マーケットセンター」。ここでは東証職員がマーケットで正しい売買や取引が行われているのかを管理・監視している。マーケットセンターは1999年まで「株券売買立会場」と呼ばれており、床下が体育館のような造りだったそうだ。現在も、天井と床の形は当時と変わっておらず、テニスコート4面分ほどの広さがある。朝から「場立ち(ばたち)」と呼ばれる証券会社の取引担当者が2,000人~2,500人ほど集まって、株取引を行っていた。「場電(ばでん)」という証券会社からの直通電話、株券売買立会場内での電話のやりとり、さらに手でサインを出して取引を行うこともあったという。

例えば、伊藤忠商事は伊藤忠の「忠」から由来し、投げキッスのサイン。三越は三本指で肩の上から上げて「三つが越す」とサイン。さらに、三菱商事は三本指で障子を開ける動作をするという。間違いを防止するため、午後3時の取引が終わると(大引け)、手のサインのトレーニングも行われていたそうだ。

1999年に「株券売買立会場」が閉場し、2000年に直径17メートルのガラスシリンダーで覆われた現在の「マーケットセンター」が建設された。ガラス造りの由来は「マーケットの透明性と公正性を伝えるため」なのだという。ガラスでガラスを支える造りは、東証が初めてといわれている。

「マーケットの透明性と公正性を伝える」ガラス造り

円型の電光掲示版「チッカー」とは?

マーケットセンターにある円型の電光掲示板は「チッカー」と呼ばれている。テレビの報道などで目にしたことがあるという人も多いのではないだろうか。「チッカー」という名前は、かつてニューヨーク証券取引所でチッカーテープ(細長い紙)に株の銘柄と株価を打刻していたときの「チクチクチク」という音に由来しているそうだ。

円型の電光掲示板「チッカー」

チッカーは円周50m。内側と外側は同じ内容が逆回転で流れている。銘柄(会社名)の情報が流れるスピードは8段階で売買の注文が多く入れば入るほど、回転するスピードの速度が上がる仕組みとなっている。例えば、「リーマン・ショック」「石油ショック」など「○○ショック」が起きた際は、株を売買したい人が増えるため、速く回転するそうだ。

チッカーの情報の見方は?

では、チッカーにはどのような情報が流れているのか、どのように読み取ればいいのかを解説していく。

チッカーの表示

■チッカーの豆知識

(1)銘柄
上段には銘柄を表示。銘柄名には会社の正式名称と異なるものがあるが、文字数を短縮しているのではなく、決まりにそって短縮されている。例えば、横浜銀行は「横浜銀」。明治乳業は「明治乳」、ユナイテッドアローズは「Uアローズ」等。

(2)株価
中段には株価が表示されている。日本の上場会社の株の売買単価は、およそ70%が100株、30%が1,000株。チッカーに表示されている株価×100もしくは株価×1,000で売買取引をすることができる。

(3)値上がり(+)、値下がり(-)
下段には、株価が値上がりしたか値下がりしたかが表示されている。値上がり(+)は赤色、値下がり(-)は緑色。日本ではお祝いごとがあると赤色を使うことが多いことから値上がりが赤色だが、グローバルスタンダードの表示はその逆で、値上がりが緑色、値下がりが赤色となっている。海外から来た人が驚くことも多いのだそうだ。